居酒屋 喜帆

楠君を驚かせて17時33分発の下関行きで下松に戻る。

笠戸島

夕暮れの瀬戸内海と笠戸島を見、

廃トンネル

廃トンネルに往時を偲んで、17時44分に到着する。

これから目指す店は「喜帆(きほ)」という。下松駅から徒歩3分ほどのところにある。楠君は毎夜仕事帰りに店の前を通っては行きたいと思っていたらしい。で、私が来るのに合わせて予約を取ったそうだ。

店はあまり広くはない。カウンターに10人座れるかどうか。テーブルは3、4脚ほどあったと思う。奥で大将が魚をさばき、カウンターで元気のいいおかあさんが2人切り盛りしている。30年続く店で、魚は今でこそ仕入れているが、昔は大将が釣ってきた魚を出していたという。

ビールで乾杯

まずはビールでスタート。向こうには常連さんがキープしているボトルが無数に並ぶ。

メニュー

メニュー。魚貝類を中心にバラエティに富んだ品々は目移りするほどだ。

お通し

お通し。きんぴらごぼうとニラを豚バラで巻いたもの。

刺盛10点盛り

刺盛り10点盛り。カサゴ、アワビ、サザエ、タイ、イカ、シマアジ、カンパチ、アジ、サヨリ、マグロで、楠君に教えてもらっていなければ半分くらいしか覚えていなかったから記事にならなかった。たしか7点盛りで頼んだはずだったのだけど、大将のご厚意で3点増えている。どれも新鮮で活きがいい。カサゴは私にとってなかなかお目にかかれない魚の一つで、新鮮味もあってこれが一番よかった。

「これはビールではないやろ」と楠君が言うとさっさとジョッキを開けて日本酒へとスイッチする。これには私も異存はない。山口県はおいしい日本酒がたくさんある。どれにしようかというのもさることながら、飲む順番もある。

五橋 本醸造生酒

で、トップバッターは岩国の「五橋」…錦帯橋ですね。本醸造生酒だ。風味が口の中にフワッと広がる。

雁木ノ壱 純米無濾過生原酒

続いては同じく岩国の雁木ノ壱の純米無濾過生原酒。つまり、これは樽からでてきたままのお酒と言っていいのだろうか。アルコール度数が17%と少し高め。それだけにきりっとした旨みがある。

ヒラメの刺身

刺盛りを食べ終えて、次に頼んだのがヒラメの刺身。笠戸島はヒラメが有名。こちらではどうなのか分からないけど、私など普段スーパーマーケットで見かけても値段を見て諦めてしまう代物だ。それが皿いっぱいに盛られている。味がないのかと思いながら噛んでいくとだんだん微かな甘みが出てきて、そこに日本酒を流し込むとこれがまた美味しい。

東洋美人 醇道一途

続いての日本酒は萩の東洋美人の醇道一途だ。雁木もそうだけど、米と米麹しか使っていないのが嬉しい。アルコール度数は16%と飲みやすい。3つともチョイスは間違っていなかったと2人で自画自賛し、順番もまた、この順で飲んでよかったと思う。

感心したのは3つとも製造が今年の3月だったことで、できたてが供されているというわけだ。お客さんにとって、とりわけ日本酒好きにとってはありがたいことだ。あと、1本300mlで出される点も嬉しい。これが4合瓶だったら、よくて2本までしか空けられなかっただろう。300mlだったからこそ3種類飲むことができた。お店の良心的な対応に感謝したい。

差身の次は串焼きを頼む。串焼きならビールだろうと思われそうだけど、どれも塩で味付けしてあるので日本酒でよかった。注文したのはゲソ、皮、もも肉とネギ。適度な塩加減でなおもお酒が進む。

昆布のおむすび

そして、締めはおむすび。昆布を入れてもらった。最後なので1個がちょうどいい。おむすびの塩と昆布の甘みのコンビネーションがよく、ふっくら炊き上がっていて食べやすい。宴の終わりを飾るのにふさわしい。

おかあさんとは楠君が中心になって、料理のこと、下松の今日のイベントがたいへん賑わったこと、私が香川県から来ていることなどを話して盛り上がった。実はこのお店、去年閉める予定だったのだけど今も続けていると聞いた。早めに来ないと次に来たときは閉まっているかもと頭をよぎった。それはまずい。

居酒屋 喜帆

そんなこんなで3時間ほどお邪魔していた。美味しい魚と楽しい話であっという間に時間が過ぎていった。毎月でも下松に来たい、そう思わせるほどの居酒屋であった。

店舗情報です。

  • 居酒屋 喜帆
  • 住所:下松市栄町1丁目8-27
  • 電話番号:0833-41-0031
  • 営業時間:17:00~22:00
  • 定休日:水曜日

今回はこんなところで。