多度津駅の給水塔

ときどき出す割り込み記事です。

11月12日の香川版

これは11月12日火曜日の朝日新聞香川版をスキャンしたものです。四国を旅したことのある人なら多度津駅横にあるこの給水塔に見覚えのある方も多いことだろう。その給水塔が記事の通り、解体されることになったのだ。

多度津駅給水塔

蒸気機関車の時代、炭水車を水を補給するためのもので、なくてはならないものであった。この給水塔は1913(大正2)年に造られて以来、111年もの長き渡って多度津駅と発着する列車を見送ってきた。四国の無煙化は比較的早く、1969(昭和44)に完了している。そのときに解体されてもおかしくなかったが、それからさらに55年、変わらぬ姿で立ってきた。

給水塔と貨物列車

向こうに見えるのはEF210電気機関車が先頭の下り貨物列車。そう、動力の無煙化に伴い、給水塔は無用の長物となってしまった。

しかし、なくなると聞くとなんとももったいない。たとえば、今「四国まんなか千年ものがたり」が多度津-大歩危間で運行されている。これを蒸気機関車牽引の客車列車にすればあるいはもっと集客に貢献できるかもしれない。勾配区間が多いから現場は大変だろうけど、乗ってよし、見てよしで大勢のファンが押し寄せること請け合いだ。そこでこの給水塔の出番である。今まで残っているのだから多少の補強をすれば使用に堪えられるのではないか。

多度津駅給水塔

13日から解体工事が始まるという情報を平日である12日に記事を出すところに意図的なものを感じるが、これはファンが殺到するのを防ぐためなのだろう。腕章を着けた人が撮影をしていた。

ちょっと解せないのは記事にもあるけど、2012(平成24)年にJR四国自身が国に有形文化財に申請して登録されている点だ。なのに、耐震性の問題でたった十数年で取り壊すのはいかがなものか。だったら、はじめから申請せずに解体していればよかったのではないか。自分で維持が難しいのなら、外部に委託する手もあっただろう。そういうお金を捻出するのすら惜しいのか。お金>文化財ということなのだろう。ニュースでご存じの方もおられると思うけど、維持費の問題とやらで最近は駅舎をバスの待合室に変えているので、このくらいのことは何とも思っていないのかもしれない。厳しい言い方になるけど、そこまで追い詰められているのなら、北海道ともども経営を国に返せばいいのにとも思う。むしろ、そのほうが安心できそう。

多度津駅給水塔

名残りを惜しむ暇もないけど、たまたま通りかかったので撮影できました。

あまり実情を知らない人間が好き勝手なことを書いてしまいましたこと、お許しください。こうして公になった以上、現実として受け容れるしかなさそうです。

今回はこんなところで。