令和6年大相撲秋場所 新番付

9月8日から大相撲秋場所が始まる。その新番付が発表された。さっそく見ていこう。

横綱は変わらず照ノ富士一人。しかし、先場所は13日目までは余裕だったのに最後の2日を連敗して隆の勝に追い付かれてしまい決定戦までやる羽目になった。14日目は立ち合いがまずく、千秋楽は攻め急いだ。先場所は序盤から長い相撲が続いたから疲れが溜まっていたのか、普段なら見られないような相撲で半ば自滅した格好だ。それでも最後は落ち着いて捌いて2桁10回目の優勝を飾った。照ノ富士はその辺を修正できているのだろうか?そうでないと、また休場の繰り返しになる。

ただ、かねてからの目標であった10回目の優勝と唯一できていなかった名古屋での優勝を成し遂げたことでモチベーションを保てるのかという問題がある。「もういいや」となったら引退は早まるだろう。次の横綱が誕生するまではという気持ちがあれば、まだやれると思うが、どうなのだろう。でも、申し訳ないけど、大関以下がドングリのままなので次の横綱は当分現れそうにない。

では、ドングリを見ていこう。

大関はちょっと前までは4大関と賑やかだったのに2大関になってしまった。東・琴櫻、西・豊昇龍だ。琴櫻は終盤の3連敗で、豊昇龍は途中休場して優勝争いから脱落、隆の勝がいなかったら13日目あたりで優勝が決まっていたところであった。毎場所言うけど、琴櫻は詰めが甘く、豊昇龍は相撲が雑、これに尽きる。これでは横綱は望むべくもない。どこかで化けるのかもしれないけど、化けないまま終わる可能性もある。あまり期待せずに見ようと思う。

関脇は貴景勝の大関陥落で4人になる。東・阿炎、西・大の里、東2・霧島、西2・貴景勝となった。阿炎が巡業中にぎっくり腰をやってしまったのが心配だ。先場所は調子が上がらず8勝止まりとはいえよく腕の伸びる突き押しは魅力的だ。しっかり治して出てきてほしい。大の里は先場所2桁勝てば、今場所大関獲りと言われていたけど、9勝に留まる。振り出しに戻ったかどうか分からないけど、あるいは今場所13勝以上の高レベルの優勝をすれば大関に上げるかもしれない。それはそれで面白いけど、慎重に見極めてもらいたい。霧島は8勝止まりで大関復帰はならなかった。序盤は霧島らしいいい相撲が見られたけど、中盤で別人のような相撲になり、勝ち越すのがやっとといった印象。やはり大関から落ちた原因の首の調子がよくないのか?貴景勝はここ数場所の相撲を見る限りでは大関復帰はないだろう。それどころか、勝ち越せば御の字だろう。そのくらい悲観的な見方をしている。

それにしても、今平幕にいる元大関たちはなぜ大関になった途端に怪我をするのだろう。この2場所で落ちた霧島、貴景勝もそうだ。先輩大関の高安、正代、御嶽海、既に引退しているけど栃ノ心。朝乃山は幕内に復帰してから怪我が多くなった。年齢もあるのだろうけど、体調管理ができていないのか?それとも大関になって張り切るのだろうか?横綱とともに協会の看板なのだからもう少し自覚を持ってほしい。

小結は先場所と同じく東・大栄翔、西・平戸海となった。大栄翔は前半よかったけど、後半伸びず8勝。平戸海は新三役で10勝して技能賞を獲得したのに小結、しかも西のまま据え置かれた。これは本人も予想だにしなかっただろう。大いに発奮材料になると思われる。最近では珍しい中卒の叩き上げであり、小さい体で真っ向からぶつかる相撲は見ていて気持ちがいい。今場所もそんな平戸海らしい相撲を見たい。

つづいて平幕。

上位は周りがほとんど負け越す中、勝ち越した隆の勝、翔猿が東西の筆頭。隆の勝は右差しからの速い攻めで先場所は優勝同点、翔猿は相手の嫌がる相撲で9勝した。どちらも個性の出た相撲で土俵を沸かせた。今場所もそういう相撲が取れるか。東2枚目の熱海富士はここ1年ほどずっとこの辺りにいるのになかなか三役になれない。もどかしいだろう。見ている私ももどかしい。早く三役になってほしい。西の王鵬は上がったり下がったりで定着できないでいる。でも、すぐ戻ってくるあたりは力を付けているということなのだろう。連続負け越しで東3枚目に落ちた若元春が心配だ。足の状態がよくないのだろうか?東4枚目の正代は久々10勝で上がってきたので期待したい。西5枚目の湘南乃海、西6枚目の豪ノ山の若手2人には頑張ってほしい。

中位は東西の7枚目に若隆景と美ノ海が就いた。若隆景は先場所1年半ぶりに幕内に戻ってきて11勝を挙げてここまで番付を上げてきた。まだ上位との対戦がない地位なのでまた2桁勝てるだろうし、勝ってほしい。美ノ海は幕内で初の2桁勝利で上がってきた。左四つからの攻めはいいものを持っている。低い姿勢で攻めるので圧力がある。東8枚目の遠藤は序盤はわずか1勝で心配されたけど、中盤以降は8連勝を含む9勝1敗で2桁10勝。やはり左からの攻めが強い。体勢も低い。基本に忠実なのは変わらずだ。あと、ベテラン2人、東10枚目の玉鷲と東11枚目の佐田の海は先場所ともに負け越してこの地位に。踏ん張って番付を少しでも戻してほしい。玉鷲は序盤はよかったのに中盤以降はいい相撲もけっこうあったけど星が伸びず7勝。佐田の海は攻めはらしい速い相撲だったけど、攻め急いだ感が強くわずか5勝とちょっと気になった。2人とも攻めた上で負けたので大丈夫と思いたい。

下位は新入幕に西14枚目・阿武克と十両優勝した東16枚目・白熊の2人。再入幕に西16枚目の北の若。阿武克はまだざんばら頭での新入幕で大の里以来だ。白熊は四つ相撲がよさそう。北の若は幕内での勝ち越しがまだないので今場所こそはの思いが強いだろう。あと、ベテランの西13枚目の錦木、東14枚目の竜電、西15枚目の宝富士の3人は大負けしたのに幕内に残留していて驚いた。幕内と十両の入れ替わりが3人だったのが幸いしたようだ。毎場所だけど、この中でも特に宝富士には頑張ってほしい。玉鷲とともに幕内に長くいてほしいと思う。

いつまでもドングリと言わさないでほしいけど、しばらく無理なんでしょうね。でも、みんなで盛り上げてほしいとも思う。期待しています。

今回はこんなところで。