令和7年大相撲九州場所まとめ その2
長くなったので、2回に分けました。今回は平幕です。
上位から東筆頭の伯桜鵬は勝ち越せば三役濃厚の地位だったが、残念ながら6勝止まり。前へ出てよく攻めていたが、あと一歩の相撲が多かった。それでいくつか星を落としているので、逆の結果だったらあるい勝ち越していたかもしれない。西筆頭の若隆景は7勝で負け越し。初日から4連敗とつまずき、途中立て直したが、14日目で負け越してしまった。首を傷めているようなので、それで調子が上がらなかったのだろう。養生しながらは難しいだろうけど、来場所は三役復帰を目指してほしい。東2枚目の霧島は序盤こそ低調だったが、5日目以降10勝1敗、9日目から7連勝で締めくくり、敢闘賞を受賞した。踏み込みがよく、攻めが厳しかった。でも、これが毎場所続かない。だから、大関に戻れない。好調を持続することの難しさを霧島が体現しているようにも見える。西2枚目の若元春は8勝と少々物足りない成績に終わった。左のおっつけは相変わらずよかったが、思ったほど星が伸びなかった。西3枚目の宇良も8勝。このうち4つは役力士からのもので立派だ。ただ、この地位で8勝だと2人とも三役復帰は難しそう。東4枚目の玉鷲は中盤の5連敗が響いて7勝に留まる。でも、相撲自体はいつもどおりでおっつけも突き落としも強烈だった。7勝なので来場所も上位に居られるので上位戦が楽しみだ。東5枚目の草野あらため義ノ富士は9勝で技能賞を獲得した。前へ出る圧力は強く、これで大の里、安青錦を一方的に押し出した。大の里戦では悪癖の引き技を出させるほどだった。好調だった前半に比べ、上位戦が続いた後半はあまり星が伸びなかったが、それでも小結以上に2勝3敗と互角に近い成績を残したのは自信になっただろう。
中位はここで目を引くのは東8枚目の一山本だろう。突っ張りも四つ身もよく、先手先手で攻めていた。手足が長いので懐が深く、攻められても粘ることができるのもいい。7日目から8連勝で11勝。敢闘賞を受賞した。選手楽の三賞受賞のインタビューで満面の笑みを見せながら答えていた。一山本のインタビューはいつもそうで、こちらも我がことのように嬉しくなる。東西の6枚目、熱海富士は8勝、阿武克は7勝だった。この二人、伸び悩んでいるように見える。ともに右四つからの攻めを得意としているのだが、なかなか殻を破れないでいる。詰めが甘く、攻めているのに勝ち切れない。ようやく芽を出してきた王鵬といういい見本がいるので見習ってほしい。西7枚目の阿炎は5連敗が2度の5勝に終わった。前半はもう一つだったが、中盤から後半にかけて得意の腕を目いっぱい伸ばした突き押しが出るようになり、復調したかと思ったけど、上づっぱりなのか威力が弱かったようで、勝ち星にはつながらず不本意な成績になった。もう一度出直しだ。東9枚目の翠富士は6勝。11日目が終わって6勝5敗、今場所は久しぶりに得意の肩透かしで2つ勝つなど存在感を出していたが、最後は4連敗を喫してしまった。大きな力士がひしめく中、正攻法の相撲を取り、また、肩透かしが警戒されていることもあり、勝ち星を重ねていくのは大変だろう。でも、見ていて面白いので、幕内で長く頑張ってほしい。西9枚目の翔猿も6勝に終わる。今年は秋場所以外5場所で負け越した。近頃は怪我が増えて精彩を欠く相撲が多くなった。動きが以前と比べて悪くなっていると思う。本来の翔猿ならこの地位だと2桁くらい勝ちそうなのだが、まだ衰えるには早いだろう。怪我さえよくなればまだまだ十分取れる。この辺りは阿炎と共通しているのかもしれない。東10枚目の大栄翔は久しぶりの2桁10勝。今場所は突き押しが冴えた。休場明けの先場所は調子が上がらず、負け越したけど、今場所は本来の相撲が取れたのがよかった。来場所は上位戦が組まれるかどうか微妙な地位になりそうだけど、さらに勝ち越して三役復帰を目指してほしい。西10枚目の琴勝峰は今場所も負け越し。名古屋で優勝してから2場所連続で負け越しとなった。今場所は12日目に7勝目を挙げてから3連敗。今場所は秋場所と違い、右四つも押しもよく、前へ出ていた。が、思ったほど勝てなかった。
最後に下位です。西11枚目の狼雅が8勝。今場所、狼雅の相撲を見ていて、なかなか考えた相撲を取っているなと思った。相手のまわしを切る、出し投げを打つなど小技もできる巧い力士なんだと認識を新たにした。東12枚目の藤ノ川は9勝。今場所も真っ向勝負で土俵を沸かせた。初日から5連勝したが、5日目の琴勝峰戦は立ち合いぶちかました後、差すのではなく突っ張って突き出した。両者の体格は一回りか二回りは違うが、藤ノ川の完勝であった。その後、4連敗があり2桁は逃したが、それでも大きな相手との対戦が多い中での9勝だから価値がある。正攻法の相撲を貫いて上位へ上がってきてほしい。西12枚目の友風は7勝だったが、序盤5連敗スタートからよく持ち直した。5連敗中はいいように攻められていたけど、以降は得意のはたき込みが決まりだして星を積み重ねていった。この友風のはたき込み、見ていてそんなに落ちるようなはたきか?つまり押しが足りないのではないのかと思うのだが、実はものすごい圧力がかかっているのだろう。そうでないと簡単にはたきに落ちることはない。東13枚目の豪ノ山は9勝だった。粘っこい押しが今場所はよく見られた。足もよく出ていたので最後まで押し切れた。あの押しは上位にとっても脅威だ。早く上位に戻ってきてほしい。西14枚目の時疾風も9勝。小さいながらこちらも正攻法で、今場所は動きがよかった。投げもよく決まり、終盤まで優勝争いに残った。最後は上位戦が組まれて、力及ばす3連敗したが、初の上位戦は勉強になっただろう。久しぶりに幕内の土俵に戻ってきた東15枚目の錦富士は9勝。以前も書いた1883(明治16)年から続く青森県出身の幕内力士が継続して在位している記録が来場所も続くこととなった。今場所の錦富士は前へ出る相撲が多く、攻めも厳しかった。けっして大きい体ではないが、正攻法の相撲は気持ちがいい。地味ながら好きな力士の一人である。東16枚目の新入幕・欧勝海は初日に勝つと2日目から8連敗であっさり負け越した。内容は悪くないのに負け星ばかりが積み重なってしまったが、10日目から6連勝で7勝に留めた。よく負け越してからが大事と言われるが、気持ちを切らさなかった結果だ。東16枚目で7勝なら来場所も幕内に残れるだろう。幕内の土俵にも慣れただろうから来場所どんな相撲を取るか楽しみだ。東17枚目の千代翔馬は1年ぶりの10勝。足腰の良さを活かした投げがよかった。無理な投げでないのがいい。あと、幕尻東18枚目の明生は腰の怪我の影響で初日から休場していたが、10日目から出場、ご当所(鹿児島県出身)だからファンの前に姿を見せたいという強い希望からだったという。6日間の成績は1勝5敗だったけど、土俵に上がると大いに盛り上がった。来場所は大幅に番付を落とすことになるだろうけど、あの一気の速攻を見たいので巻き返して早く戻ってきてほしい。
と、今回はいつになく長編になってしまった。それだけ面白かったということだろう。そして、これはそのまま来場所への期待へとつながる。待ち遠しいねすね。今回はこんなところで。




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