令和7年大相撲秋場所 新番付

9月14日から大相撲秋場所が始まる。1日、その新番付が発表された。

先場所は平幕の琴勝峰が優勝した。横綱が2人になり、これまでのドングリ状態から上位も安定すると思われた中で平幕に優勝をさらわれたわけだ。すなわち、上位陣がふがいなかったのが原因だ。だからといって、琴勝峰の優勝が色褪せるものではない。先場所の琴勝峰は前へ出る圧力が強く、攻めが速かった。

では、上から順に見ていこう。

横綱は東・大の里と西・豊昇龍。大の里は新横綱場所で11勝は及第点といったところか。ただ、4敗はすべて平幕という点が大きなマイナスだ。大の里は新三役、新大関、新横綱と「新」が付く場所では成績があまり伸びない。2場所目以降本来の力を発揮して優勝争いに絡んでいく傾向が強い。その流れに沿えば、今場所は優勝もしくはそれに近い成績を残すのかもしれない。徐々に慣れるタイプなのかも。一方の豊昇龍は先場所は途中休場で、横綱3場所で2度目の休場となった。これはもう正念場といっていい。大の里と違って他を圧倒するような強さに欠ける、というか足りない。あ、同じか。おじさんの朝青龍のような十分からの投げではなく、強引な投げが多いので安定感にも欠ける。強引だから怪我も多い。これでは安心して見ていられない。今さらだけど、相撲を見直したほうがいいのではないか。

大関は琴櫻一人。3場所連続で8勝、と弱い大関の代名詞のように言われるクンロクよりも悪い。いいものを持っているのに、相変わらず上手が取れないと落ち着かなくなり、バタバタして土俵を割る。そして、シュンとなって花道を下がっていく。今年に入ってからこういう光景を何度見てきたことか。最後の塩に分かれたときに見せる鬼瓦のような形相の後だけにその対比が滑稽に見えてくる。圧力が弱い、上体だけで相撲を取っているように見えるので、もっと踏み込めばいいのではと思う。

関脇は東・若隆景、西・霧島となり、若隆景はいよいよ大関挑戦の場所となった。膝の怪我から復帰して以前の安定した相撲が戻ってきた。初の連続二桁という成績にも表れている。低い攻めからの左のおっつけは強烈で相手が浮くほどだ。技能派大関の誕生を期待する。霧島は先場所若隆景と同じく大関への足固めの場所で臨んだが、8勝止まりで振り出しに。ここのところ、二桁と一桁の繰り返しで成績が安定しない。霧島も怪我に苦しんでいるのでやむを得ないところもあるだろう。若隆景だっていつ再発するやら分からないから内心ヒヤヒヤしている。首尾よく大関になっても栃ノ心や正代のように新大関場所で怪我をして長く勤められないということもある。本当に気を付けてほしいと思う。

小結は東・高安、西・安青錦とベテランと若手の好対照の二人となった。が、これは今回の番付の残念な点で、先場所の成績(高安は西小結で10勝、安青錦は東筆頭で11勝)なら二人とも関脇だろうと。それがともに半枚しか上げてもらえなかった。幕内定員42名という縛りがあるにしても関脇4人でもいいじゃないか。なぜ、協会はかたくなに東西二人にこだわるのか?

成績優秀で、通常なら上がるべき成績を残しているのだから、これは腑に落ちない。高安は先場所は先々場所に6勝だったにも関わらず小結に据え置かれていたので、それと差し引き0したのか?いつぞやの新小結・平戸海は10勝したのに小結に据え置かれて、翌場所負け越し、関脇に上がれなかったのを思い出した。一体、どういう基準で三役を決めているのか?

おかげで先場所、西4枚目で11勝した玉鷲は東の筆頭になっていて、完全に割を食った形だ。普通なら少なくとも小結になって然るべき成績であろう。

そんな玉鷲のいる平幕上位は若手がひしめいている。東西の2枚目には伯桜鵬と王鵬が同じく3枚目には熱海富士と豪ノ山。熱海富士は3場所ぶりに上位に戻ってきた。あと、東4枚目に平戸海、東5枚目に先場所優勝の琴勝峰がつづく。新入幕のときほどの威圧感はないものの、ジリジリ上がってきた伯桜鵬、がむしゃらに攻めてほしい熱海富士や豪ノ山、負けたときの悔しそうな表情に頑張れと声をかけたくなる平戸海、前さばきがうまい琴勝峰…みんないい相撲を取るだけに役力士との対戦が楽しみだ。

中位は先場所新入幕で技能、敢闘の二つの賞を取った草野が西6枚目に上がってきた。成績次第で約力士との顔合わせがあるかもしれないので楽しみ。東西の9枚目、翠富士と藤ノ川はどちらも技能派で見ていて楽しい。翠富士は先場所得意の肩透かしがなかったような気がする。今場所は見られるか?先場所怪我で全休した東の10枚目の大栄翔は関脇からここまで落ちた。全休なので仕方がないけど、得意の突き押しで早く上位に戻ってきてほしい。

下位は気になるのは先場所怪我で途中休場した東12枚目の尊富士。いつも指摘しているかもしれないけど、体がいかにも硬そうで、下半身が細い。いい相撲を取るのに怪我が多い印象だ。怪我に強い体を作ってほしい。東12枚目の明生、東14枚目の翔猿も怪我に苦しんでいるけど、まだまだ取れる。持ち味を発揮してまた上位に上がってきてほしい。今場所も幕内と十両の入れ替わりは激しく新入幕1、再入幕4の合わせて5人が入幕した。唯一の新入幕は西17枚目の日翔志(ひとし)だ。私はまだ日翔志の相撲を見たことがない。右四つからの寄りが得意だそうなので、そのあたりを注目して見ようと思う。

最後に。遠藤とか宝富士の四股名が幕内にないのは寂しいことだ。幸い、佐田の海は玉鷲とともに幕内で頑張っている。二人も励みにしてほしい。新しい力士が上がれば、力の衰えた力士は落ちていき、やがて引退していく…世の習いとはいえ寂しいものです。

今回はこんなところで。