惜別おろち号 その3
9時28分に宍道を出る。
山陰本線とはすぐに分かれ、さっそく田舎の風景になる。宍道から列車の進行方向が変わってトロッコ車両が先頭になる。
南宍道を通過して加茂中に停まる。ホームには何人かが「おろち号」を撮影している。
加茂中駅。堂々とした造りの駅舎はホームより一段低いところにある。
列車で花見。すみません、季節外れすぎて。
まっすぐに延びるレール。
幡屋を通過して赤川を渡る。
出雲大東では地元の人が大勢で出迎えてくれる。
一つ手前の南大東を通過すると少し行ったところで側線が現れて、
10時06分、木次着。線内では出雲横田とともに主要駅のひとつだ。キハ120の宍道行き普通列車が停まっている。キハ120にこの色は似合わない。
車両基地があり、相対式ホーム2面2線を持つ。2番線のホームはかつては島式で3番線があったけど、2005(平成17)年に廃止されている。フェンスが設けられているけど、その名残で元3番線側に白線が残っている。
ユニークな駅名標。10時08分発。ここからは終点の備後落合まで各駅に停まる。
さて、「おろち号」では食堂車のような供食設備はないけど、いくつかの駅で弁当やスイーツを販売している。地元で採れた農産、畜産物を使ったもので、沿線全体で「おろち号」を盛り上げようというのが分かる。ほとんどが予約販売ながら予約なしで購入できるものもある。今回は予約で買っている。
で、まずは木次駅で予約していた「焼鯖棒寿司」だ。鯖をまるまる1匹使った棒寿司で、稲荷ずしも2個ついている。焼いているので、油がある程度飛んでいてくどくないのがいい。「まず」と書いたのは食事がこれだけで終わっていないからだ。でも、「おろち号」に乗る前にホテルで朝食は摂っているからまだ3時間くらいしか経っていない。
日登駅。
日登に残る国鉄駅名標。ブレてしまった。
撮影する人、手を振る人。沿線各地で見られた。
時速25キロの速度制限を示す標識。いくら何でも遅すぎる。路盤が弱いということもあるのだろうけど、これでは車に勝ちようがない。
下久野。昔ながらの駅舎だ。見たところ、かつては島式ホームだったようだ。
下久野を出てトンネルに入ると、天井には大小さまざまな星が現れた。
出雲八代では地元の子どもたちが段ボールで作った「おろち号」をかぶってお出迎え。
木造駅舎に、
国鉄駅名標。今度はちゃんと撮れた。
出雲三成。地元の物産販売の店や奥出雲市の観光案内所が入っているからか、木次線に似つかわしくない近代的な駅舎だ。
木次行き普通列車と交換する。木次線仕様のカラーリングとなっている。こちらはあまり違和感がない。
出雲三成では地元産の牛を使った「仁多牛弁当」を購入する。
松本清張の小説「砂の器」で有名な亀嵩。
改札には右書きの駅名扁額と「来てくれてありがとう!」の看板が。
ここにも国鉄駅名標。ひらがなの「かめだけ」の隠れてしまった。
蕎麦が名物なので、もちろん注文している。木次線に乗る度に食べていてこれが3回目。それにしても、短時間に一体何食摂っているのか。
出雲横田。ここもかつては急行が停まっていた主要駅。降りたことはないけど、駅の入り口には出雲大社のようなしめ縄が張られている。主要駅らしく相対式ホーム2線2面と側線を持つ。
ここで最後の駅弁?「笹すし」を買う。でも、さすがにもう入らないので家に帰ってから食べた。酢飯の上に鮭、カニ、ウナギなどを乗せて笹で包んだ寿司で、奈良の柿の葉寿司に似ている。
桜並木。
八川。ここでも蕎麦が売られているけど、亀嵩で買ったのでもう買わない。
出雲坂根。延命の水があり、その傍らでは焼き鳥を焼いている。降りてみたけど、時間がなくてどちらも味わうことができなかった。満腹でも焼き鳥1本くらいなら食べられると思ったのだが。ここからが木次線一番の見どころ、三段式スイッチバックに入る。
動画から静止画を切り取ったので横長です。まず、今通ってきたレールを見ながら上っていく。
右からこれから通るレールが現れる。
スノーシェッドに入る。
ここで数分停車して進行方向を変える。
再び備後落合方面へ向けて動き出す。今通ってきたレールを見る。上がっているのが分かる。
さらに上る。
出雲坂根はあんなはるか下に見える。
スイッチバックが終わってもなお高いところを走る。これは国道314号にある奥出雲おろちループ。
三井野大橋。
標高727メートルとJR西日本で一番高いところにある三井野原。かつては「三井野原スキー号」などの臨時列車も走っていた。
駅の反対側は三井野原スキー場が広がる。この辺りは山陰屈指の豪雪地帯ではあるけど、さすがに4月では雪はまったく残っていない。北陸以北でも今年は営業するのが厳しかった冬だからこの辺ともなると早じまいをしたのだろう。今は廃墟のように見えるけど、シーズンには大勢の人で賑わう。
油木。駅名標だけです。
西城川に沿う。
レールが増えてきて、ターンテーブルも現れて、
備後落合に着く。3時間51分の旅であった。今回はこんなところで。
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