令和6年大相撲名古屋場所新番付
「下松発下松行き」は今日はお休み。
7月1日、14日から始まる大相撲名古屋場所の新番付が発表された。さっそく見ていこう。
先場所は三役以上9人のうち5人も休場した影響もあって、優勝したのは新小結の大の里。無論、今場所は新関脇に躍進している。春場所の尊富士に続いての新鋭の優勝に横綱大関陣は猛省せねばならない。
横綱・照ノ富士は横審から秋場所まで猶予をもらったとはいえ、安閑としていられない状況が続いている。腰も膝も悪いとなると秋まで待っても厳しいかもしれない。今場所も休んで秋に懸けるとなるとぶっつけ本番、ますます不安だ。もはや優勝するくらいでないと皆勤もできないのだから自ら進退を決すべき時ではないかと思う。比較的暖かい目で見ていた私ですらもこう思わざるを得なくなっている。
大関は霧島が早くも陥落して3人に。最近の大関はこういうのが多くていけない。貴景勝はよく持っているほうだが、勝ち越しと休場を繰り返しているから地位を守るのに汲々としている印象。それはともかく東・琴櫻、西・豊昇龍は先場所それぞれ10勝と11勝と及第点の成績だが、やはり物足りない。琴櫻が優勝次点ではあるけど、前半の取りこぼしがなければあるいは優勝できていたかもしれない。豊昇龍は相変わらずの相撲で安定感に欠けるからあまり期待はできない。ああいう相撲は波に乗ればいいのだろうけど、いったんリズムが狂うと修正が難しそう。東2枚目の貴景勝はまたカド番。首のことを考えると地位より自分の命を大事にしたほうがいいような気がする。でも、もし大関から落ちて地位から解放されてもやっぱり安心はできそうにない。
関脇は東には西からスライドした阿炎、西に西小結だった大の里、東2枚目に大関から落ちた霧島の3人。阿炎は関脇で初めて2桁勝った。突き押しが冴えていたが、千秋楽に大の里に敗れて決定戦へ持ち込めなかった。勝てば琴櫻と大栄翔の4人による決定戦だったが、11勝の優勝は見たくなかったので私としてはこれでよかった。続いて大の里だが、基本に忠実な相撲で新入幕から3場所連続11勝以上を挙げている。今場所も同等の成績をおさめれば大関に上げようという動きが出てくるかもしれない。連覇でもすれば確実に大関になりそう。三役で三場所33勝と杓子定規にやる必要はないと思う。そもそもこれだって不文律であって、それ未満の成績で大関に上がっている例はいくつもある。それなら逆にそれ以上の成績をおさめれば上げて当然ということになる。ただ、心配なのが昨今、大関に上がった途端に地位に飲まれるのか相撲が小さくなって魅力が失われて、挙句に怪我をしてあっさり関脇に落ちる力士が増えていることだ。霧島はその典型かもしれない。責任感から稽古もしっかりして場所に臨むものの、自分の相撲が取り切れない。で、足を痛めて連続負け越し、わずか1年で大関陥落となった。強い大関は出ないものか。それはそれで横綱になれないので困るが。
小結は東に大栄翔が2場所ぶりの三役復帰、西は初の三役、平戸海が名を連ねた。大栄翔は琴櫻、阿炎とともに優勝次点。回転の速いつっぱりで、2連敗があったものの順調に星を重ねた。が、先場所が西の筆頭だったのでちょっとかわいそう。平戸海はたたき上げで、小さいのに正攻法の相撲を取るので幕に上がったときから期待していた。四つでも押しでも相撲が取れるのがいい。簡単に土俵を諦めないのもいい。先場所序盤、大関戦が続いて苦しかったが、終盤は5連勝で9勝。この5連勝には高安、御嶽海の元大関も含まれるから価値がある。この調子で土俵を引っ掻き回してほしい。
平幕はどうだろう。
上位は東筆頭が明生、西は熱海富士。熱海富士がもどかしい。ここ数場所ずっとこの辺りの地位にいるのになかなか三役に上がれない。先場所は東筆頭で千秋楽に負け越しと悔しい結果に終わった。今場所、9勝くらいできれば三役が見えてきそう。また、西3枚目に突き押しが魅力の豪ノ山、西5枚目に柔らかい湘南乃海がおり、こちらも楽しみ。他にも西2枚目の若元春、東西の4枚目の翔猿、宇良などのくせ者も多く、横綱大関陣はうかうかしていられない。
中位はどちらかというとベテランが多い印象。西7枚目に佐田の海がついた。先場所途中、足を痛めて心配されたが、逆に速い相撲を取り続けて9勝。番付を4枚上げた。先場所新入幕で10勝を挙げ、敢闘賞を受賞した欧勝馬が東9枚目、西には玉鷲と新鋭とベテランが並んだ。肩透かしの翠富士は西10枚目に落ちた。あの切れ味鋭い肩透かしは上位に繰り出してこそなので、また番付を戻してほしいものである。
下位もまたベテランが多い。新入幕はおらず、再入幕に5人。これはなかなかない。しかも、実力派ぞろいだ。上から順に。東12枚目の朝乃山はせっかくの再小結の場所を怪我で全休したため、この地位からの出直しとなる。さすがにこの辺りなら2桁くらいは勝つと思うけど、年齢とともに最近は怪我も多く、皆勤する場所が減ってきているのが心配だ。大関復帰はもう無理だろうから長く土俵を勤めることを心がければいい。西13枚目の宝富士は2場所ぶりの幕内復帰だった先場所は中日までに7勝と快調だったが、後半は疲れたのか9勝止まり。それでも3点の勝ち越しで3枚上がった。今場所も9勝くらいできれば幕内の真ん中には戻れそう。玉鷲、佐田の海ともども頑張ってほしい。で、再入幕組。東西の14枚目には元関脇の若隆景と元小結の遠藤が並んだ。若隆景は1年ぶり、遠藤は2場所ぶりの幕内復帰だ。2人とも怪我を抱えながらなので無理せず力を出してほしい。難しいことを言いますね。東15枚目の千代翔馬は5場所ぶり、東西の16枚目・輝も5場所ぶり、武将山は3場所ぶりの復帰。千代翔馬と輝は三役経験はないものの、上位でも取ったことがあるが、武将山は過去3回幕に上がっていて何れも1場所で十両へ落ちているから今場所こそは勝ち越したい。東17枚目の錦富士は十両かと思われたけど、ギリギリ残った。
こんな顔触れで名古屋場所を迎える。大関以下もうひとつパッとしない、ドングリの上位陣が場所を引っ張っていけるのか、軸になる力士は現れるのか、気になるところだ。先場所のような上位陣総崩れという事態だけは避けてほしいものである。
今回はこんなところで。
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