令和6年大相撲名古屋場所 まとめ2

では、ドングリ大関以下を見ていこう。

東大関・琴櫻は序盤の取りこぼし、終盤には大関関脇戦で3連敗して優勝争いから脱落、残念な結果に終わった。柔らかさを活かした攻めはいいのだけど、その攻めの甘い場面がよく見られた。だから、土俵際で突き落とされたりして星を伸ばすことができなかった。西大関・豊昇龍はいつもの強引な攻め、投げでなんとか照ノ富士に食らいついていたけど、12日目の琴櫻戦で首投げを打った際に股関節を傷めようだ。今の相撲を取っていては怪我が増える。もっと安定感ある相撲を目指してほしい。そうでないと横綱は無理だろう。そして西大関2・貴景勝はついに大関から陥落する。先場所の霧島に次ぐもので、以前から傷めていた首に加え、肘や膝にもサポーターが見える。陥落場所で10勝で大関復帰の特例があるけど、クリアできるとは思えない。今場所霧島が挑んだけど、実現しなかった。これで秋場所は元大関が6人になる。こうたくさんいると大関の権威も下がるというものだ。

つづいて関脇。3人いてみんな勝ち越した。ただ、東・阿炎8勝、西・大の里9勝、東2・霧島8勝と2桁勝った力士はいない。阿炎は突き押しがよかったけど、なかなか簡単には勝たせてもらえなかった。それでも大関2人に勝つなど存在感は示せた。先場所優勝の大の里は序盤波に乗れず、これが響いた。とはいえ、負けた相手も難敵ばかりなので勝つにしてもそう簡単ではなかった。大関から陥落した霧島は3連勝スタートと最高のスタートを切ったが、その後どこかを傷めたのか成績が伸びず、勝ち越すのがやっと。1場所での大関復帰は叶わなかった。出直すとなるとまた3場所33勝が必要だ。これを成し遂げて2回大関に上がったのは魁傑しかいない。来場所は貴景勝が陥落となるので関脇が4人になる。みんな勝ち越すくらいだと盛り上がるのだが。

次は小結。東・大栄翔8勝、西・新小結の平戸海は2桁10勝だった。大栄翔は前半はよかったのだけど、後半は上位に敗れ、下位にも取りこぼして8勝に留まる。一方の平戸海は横綱大関戦は貴景勝に勝っただけだったけど、関脇小結戦は大栄翔に敗れたのみで合わせて4勝4敗の五分。これが大きかった。小さいながら真っ向勝負の相撲を取るのがいいし、中卒のたたき上げというのも将来が楽しみだ。

平幕はなんといっても東6枚目・隆の勝だろう。千秋楽まで場所を盛り上げた功労者だ。14日目の照ノ富士との直接対決では横綱の立ち合いの失敗はあったにせよ、右ののど輪から得意の右を差して一気の寄りで完勝。千秋楽も下から攻めて大の里に勝って決定戦に持ち込んだ。敢闘賞は当然、合わせて殊勲賞もあげていいくらいだ。西筆頭の熱海富士は7勝でまたしても三役ならず。ここのところ、ずっと筆頭とか2枚目にいて三役を狙える地位にいるのに実現しない。本人も悔しいだろうし、もどかしいことだろう。もう少し攻めを厳しくしないと上位で安定した成績は残せないだろう。西3枚目の豪ノ山は今場所は5勝しかできず、しばらく守っていた上位の地位から下がる。心配なのが東2枚目の若元春。3連敗と6連敗で6勝止まり。足の調子がまだよくないのだろうか。足を治して、左からの攻めをもっと磨いて三役に復帰してほしい。

下位では1年半ぶりに幕内に戻ってきた元関脇の東14枚目・若隆景がらしい相撲で11勝をあげた。拝むような相撲は健在、おっつけは強烈で、この地位だと2桁は当然か。また、同じ帰り入幕で西14枚目の遠藤も10勝した。左四つ、基本に忠実な相撲で勝ち星を重ねた。あと、東10枚目の正代が10勝というのは意外というと失礼だけど型にはまればまだ2桁勝てることを証明した。西12枚目・美ノ海は終盤まで健闘して10勝したのは立派。それにしても、朝乃山はつくづく悲運だなと思う。先場所は久しぶりの小結だったのに怪我で全休、出直しの今場所は3連勝スタートしたのに膝の靭帯の断裂などの大怪我で途中休場。復帰に半年はかかるだろうと言われているので、もう幕内に戻ることは無理かもしれない。

なんだかんだで最後は盛り上がった名古屋場所。来場所はもう少し高いレベルでもりあがってほしい。

今回はこんなところで。