令和6年大相撲初場所 新番付

2024年3月30日

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

年が変わってしまいましたが、令和5年12月25日、令和6年の初場所の新番付が発表された。投稿が遅すぎ。

焦点は大関霧島の綱獲りなるかだろう。先場所も一部では綱獲りが云々されていたけど、関心は低かった。でも、今場所は違う。大関3場所目にしてようやく本来の相撲を取ることができた霧島が13勝というここ最近では比較的高いレベルでの優勝だったから否応なしに綱獲りへの期待が高まる。序盤を取りこぼしなく勝っていければ波に乗ってそのまま優勝争い、横綱が見えてきそう。12勝では優勝しても連覇ながら微妙だけど、13勝以上なら優勝同点でも上げていいと思う。横審など先場所の感じを見ていると11勝でも上げそうな勢いだったけど、推挙するのは協会なので、横審が上げたいと言っても誰も推薦されなければ上げようがない。そんな疑義の生ずるような成績で上げる上げないの議論にならないよう望む。

では、上から順にみていこう。

横綱・照ノ富士は腰痛の状況が思わしくないようで巡業も休んだ。土俵に戻ってくるのはなかなか厳しそうだから、この分だと今場所も休場だろう。それもまた致し方なし。出る以上は優勝して当たり前、優勝できそうにないなら出ないほうがいい。九州場所前に新聞で白鵬には厳しかったのに照ノ富士には甘い横審と書かれていた。未だ何の注意も受けていないのだから当然だろう。進退もそろそろ考えないと風当たりは強くなる一方だ。

他の大関はまず貴景勝。綱獲り?場所を9勝で終え、また振出しに戻る。序盤は4勝1敗とまずまずの滑り出しだったものの、中盤以降負けが込んで2桁すら勝てなかった。印象としては押し切れない、突き切れない相撲が多かったことだ。圧力がなさそうに見えた。だから、引き技に頼るが、前へ出る力が弱い分、引き技も活きてこない。大関に留まるにせよ、陥落するにせよ、細く長く取るのがいいような気がする。もう一人の大関・豊昇龍は10勝したものの、相変わらず雑な相撲が目立った。5日目の豪ノ山戦の焦らすような立ち合いは看板力士たる大関らしからぬ立ち居振る舞いで批判もあった。中盤の3敗はその批判を気にしてのことかもしれないが、もっとどっしり構えてほしい。地位に負けて余裕がないのではないのか。

3人いた関脇は若元春が足の怪我が響いて平幕に落ち、東・琴ノ若と西・大栄翔の2人になった。琴ノ若は去年の初場所に小結になってから6場所連続で三役で勝ち越していて安定している。攻めが速いし、右からの攻めがいい。そろそろ大関の声がかかってもいいのではないか。今年には上がってほしい。大栄翔は年間最多勝争いをするほど好成績を続けていたが、大関には届かず、先場所も9勝止まりだった。突き押しゆえの不安定、ツラ相撲はどうしても出てしまう。見ていて気持ちのいい相撲なので、これをいつまでも見せてほしい。

小結は東・高安、西・宇良となった。高安は去年の初場所以来1年ぶりの三役だ。力はあるのに腰痛持ちで安定した成績を続けて残せないのは本人もふがいないだろう。大関復帰は難しいかもしれないけど、上位で取り続けることはまだ可能だろう。力強い相撲を見せてほしい。宇良は嬉しい新三役。先場所は初日から5連敗して、また上位の壁に跳ね返されるかと思ったら以降を8勝2敗で乗り切って勝ち越した。怪我で序二段まで落ちてここまで戻ってこられたのはそれまでの半端相撲から正攻法に変えたからだと思う。低い姿勢からの押しは脅威だ。どれだけ勝てるか楽しみだ。

平幕上位は若手が躍進した印象だ。新入幕のときから期待していた西筆頭・熱海富士は2場所連続で優勝争いに絡み、とうとう三役が狙える地位に上がってきた。そして、今場所は上位総当たりの地位でもある。真価が問われるが、いきなりこの地位だと果たしてこれまで通りの相撲が取れるかどうか。右四つの型があり、圧力もかなり強いのでまずは勝ち越しを目指してほしい。東2枚目・翠富士は半年ぶりの上位だ。小さいながら押し相撲で攻め、ときには浅く差してからの肩透かしを繰り出す。東4枚目・翔猿とはまた違った相撲で土俵を楽しませてくれる。付かず離れずの相撲が取れれば、あるいは面白い取組が見られるかもしれない。西2枚目・阿炎は元寺尾の師匠錣山が急逝したことが発奮材料になるか。先場所は突き押しに精彩を欠いていたけど、いつもの伸びのある突きが出るか。東3枚目はこれまた期待の豪ノ山だ。突き押しで着実に番付を上げてきた。しかも、先場所は貴景勝と霧島に勝っている。圧力は上位でも通用するかなりのものだ。今場所も勝ち越してほしいものだ。

中位は東西の6枚目に金峰山、湘南乃海、東西8枚目の北青鵬と平戸海と若手が並ぶ。中でも湘南乃海と平戸海に期待する。湘南乃海は大きな体、平戸海は小さな体格でそれぞれ四つ相撲と押しを得意とする。いい相撲を取るだけに早く地力をつけて上位へと上がってほしい。東西10枚目の玉鷲と佐田の海も楽しみだ。玉鷲は残念ながら10勝はできなかったが、9勝で少し番付を戻した。強烈な突き押しや小手投げは健在。まだまだ取れるという印象を残した。佐田の海ももろ差し、右差しからの速攻が冴えた。中には攻め急いで墓穴を掘ることもあったけど、積極的な相撲は玉鷲と同じだ。まだ老け込むような2人ではない。

下位は新入幕が西15枚目・大の里と東17枚目・島津海の2人、再入幕が東14枚目・琴勝峰、西16枚目・武将山、西17枚目・碧山の3人となった。大の里は元稀勢の里の二所ノ関が育てた初めての幕内力士で、まだ大銀杏も結えないスピード出世。幕下10枚目格付け出しで5場所目での入幕だ。突き押しと右四つを得意とするとのことなので、右四つの型を極めて上位を目指してほしい。島津海は中卒のたたき上げ。71場所かけて幕内に上がってきた苦労人だ。もろ差し得意というから速攻相撲を期待したい。再入幕の中では碧山だろう。十両に落ちたが、1場所で幕内に戻ってきた。ただ、西17枚目というのは幕尻であり、勝ち越さないことには幕内にいられなくなるので、あの太い腕から繰り出す突き押しで最低でも勝ち越してほしい。あと気になるのは東16枚目の宝富士だ。先場所、東13枚目で6勝しかできず、ここまで落ちてきた。最近は根負けすることが増えてきた。また、左を差しても勝ち切れないこともあり、かなり衰えが目立つようになってきた。ここでひと踏ん張りして少しでも番付を戻したい。

若手の台頭、胎動著しい昨今、楽しみが増えている。しかし、ベテランにも頑張ってほしい。新旧入り乱れるこの状況がたまらなく面白い。今場所も多くの見どころがある。今から楽しみだ。

今回はこんなところで。