JR四国の楽しい列車たち

前回は四国で普段走っている絶滅危惧車両や希少価値な列車を紹介した。今回は週末を中心に走っている列車を見てみたい。要は臨時列車なんですが、どれも機会があれば何度でも乗りたい列車ばかりだ。

伊予灘ものがたり

まずは「伊予灘ものがたり」から。キハ185系を改造したキロ185、186の3両編成で松山-伊予大洲・八幡浜間を伊予灘に沿う海線の伊予長浜経由で各1往復している。四国の観光列車のはしりの列車で、登場以来ずっと乗りたいと思っている。上下4本それぞれで食事が摂れ(要予約)、予約が取れていなくても売店ではスイーツやお酒、グッズなど様々なものが売られている。1~4人まで座席が用意されているのも嬉しい。中でも海向きのシートはいいですね。特に3号車「陽華の章」は8人用個室として使用できる。これはその3号車。

伊予灘ものがたり

こちらは1号車。

伊予灘ものがたり

「伊予灘ものがたり」は2014(平成26)年に登場した。当時はキハ47を改造したキロ47の2両編成で、当時は普通列車扱いだった。でも、人気に味をしめたのか、後続の観光列車が特急化されたからなのか、3年前から現行の2代目がキハ185系を改造して登場。そういう経緯なだけに特急列車となった。この写真は高松駅で開催されたデビュー前の展示会でのもの。

伊予灘ものがたり

配色やロゴマークは同じですね。このロゴは下灘駅の先、伊予灘に沈む夕陽を表している。もう登場から11年も経つんだからいい加減乗りなさい。

四国まんなか千年ものがたり

そして、3年後の2017(平成29)年に「四国まんなか千年ものがたり」が同じく185系を改造したキロ185、186を使った3両編成で登場する。土讃線の多度津-大歩危間を1日1往復する。大歩危小歩危の景観を楽しむのがメインだが、琴平駅にはかつての1等や2等の待合室を思わせる専用の待合室を作ったり、スイッチバックの秘境駅・坪尻では停車時間を設けて駅内外の秘境感を楽しめたりと、いろいろと楽しめる仕掛けが施されている。こちらも要予約の食事の他、予約なしで飲食が楽しめるよう売店で様々なものが販売されている。

四国まんなか千年ものがたり

これも高松駅で行われたデビュー前の展示会で撮ったもの。これも乗りたいと思いながらなかなか実現しないでいる。

志国土佐時代の夜明けものがたり

3つめのものがたり列車は2020(令和2)年から運行を開始した「志国土佐 時代(とき)の夜明けものがたり」だ。これもキハ185系改造のキロ185を使っているが、他の2列車と異なり2両編成となっている。普段は高知-窪川間を週末を中心に1往復、期間限定で土佐くろしお鉄道・ごめんなはり線の奈半利まで運行する1往復もある。いずれも太平洋を眺めながらの列車の旅で、もうそれだけでお腹いっぱいになりそうだ。要予約の食事はこちらも上下ともにあり、カウンターでは軽食やアルコール、グッズの販売がある。この写真は昨年の春に四国を一周したときに高知駅で撮ったもの。

以上は通称「ものがたり」列車で、いずれも特急であり、全車グリーン車と観光列車らしく格調の高い雰囲気とサービスとなっている。全部まとめて乗ってみたいなと思わないでもないけど、印象がごちゃまぜになりそうなので、別々に乗ったほうがいいのかもしれない。

つづいてはトロッコ列車。

しまんとトロッコ

こちらは予土線を走る「しまんとトロッコ」だ。窪川-宇和島間を週末を中心に1日1往復している。2両編成で、トロッコに改造した元無蓋貨車のコトラ45000形と専用塗装に身をまとったキハ54で組成されている。コトラには動力はもとより運転台もないことから上下とも先頭はキハ54が来るように終着駅で入れ替え作業を行ってキハ54が引っ張る形を取っている。トロッコ乗車区間は下りが土佐昭和-江川崎間、上りが江川崎-土佐大正間とあまり長くない。

しまんとトロッコ

こちらがトロッコ部分。この車両に乗ることができるのは指定券を持っている人のみで、乗車券だけしか持っていない乗客はキハにだけ乗ることができる。これはトロッコ運行日以外は定期の普通列車として運行されているためで、普段使いの人が乗れなくなるのを防ぐ目的がある。私は2019(令和元)年に四国を一周したときに乗っていて、正に指定券を取らずに利用したのであった。でも、こんな車両が付いていれば、乗りたくなるのも人情だ。今度乗るときは指定席を取って乗ろうと思う。上りの2号では要予約の弁当がある。また、車内販売があるのも嬉しい。

予土線ではこのほかにも「海洋堂ホビートレイン」や「鉄道ホビートレイン」といった車両が走っており、トロッコと合わせて「予土線3兄弟」として乗客を楽しませている。

鉄道ホビートレイン

鉄道ホビートレインは画像がありました。これは2014(平成28)年に日帰りで四国を一周したときに乗った際のもの。海洋堂ホビートレインはありませんでした。私的には四国の新幹線はこれでいいと思ってるんですが、いかがでしょうか?

藍よしのがわトロッコ

これは徳島線を走る「藍よしのがわトロッコ」で、2020(令和2)年からこちらも週末を中心に徳島-阿波池田間を走り始めた。徳島らしく藍色に染められたキハ185とキクハ32の2両編成だ。この列車にも要予約の弁当があり、車内販売で軽食や飲み物、グッズが販売されている。トロッコ乗車可能な区間は上下とも石井-阿波池田と徳島線の85%ほどと長い。これは2024(令和6)年に乗ったときのもの。

藍よしのがわトロッコ

トロッコ部分のキクハ32はキハ32の系列だけど、JRになってから別途造られた車両だ。で、キクハ32には運転台が付いているので、「しまんと」のような入れ替え作業は不要だ。客車チックなトロッコだ。

アンパンマントロッコ

最後は子どもがいないと乗るのに勇気がいりそうな「アンパンマントロッコ」だ。週末運行は同じで、高松-岡山間と岡山-琴平間を各1往復している。トロッコ列車は3系統あるが、これが唯一のオールグリーン車となっている。でも、特急ではないから乗車券とグリーン券で乗ることができることと考えると「マリンライナー」のグリーン車を利用したのと同じことなので、それほどハードルも高くないか。トロッコ乗車区間は前者が坂出-児島間、後者は児島-琴平間で、岡山発着列車のほうがトロッコをより楽しめそう。車両はキハ185とキクハ32で、これは「藍よしのがわトロッコ」と同じ編成だが、すべてがアンパンマンで埋め尽くされている。これにも売店があって、グッズなどを買うことができる。この写真は岡山駅に停まっていたところを撮ったもの。

アンパンマントロッコ

ご覧の通り、前も後ろも側面も車内もアンパンマン。実は以前、乗ったことあるのだが、それは10年ほど前に子どもを連れてだった。それはそうであろう。もはや子どもたちは大きくなり、アンパンマンという歳でもなくなった今、私一人で、いや誰かと連れ立ってでも乗るのは勇気がいる。なので、そのときが最初で最後の乗車で終わりそうな気がする。

と、JR四国の観光列車を見てきた。トロッコには乗っているけど、ものがたりは乗っていない。人気が高くて乗る機会に恵まれない。1つずつでも乗っていきたいと思う今日この頃です。

今回はこんなところで。