四国小回り その22

讃岐財田駅名標

讃岐財田に着いた。ここで9分ほど停車する。所定では12、13分停車するはずなのだけど、坪尻を出た時点で3分ほど遅れていたので財田での停車時間が短くなった。駅名標の通り、読みは「さいだ」だけど、この地域の地名は三豊市財田(さいた)町(旧三豊郡財田町)だ。

髙松方面

讃岐財田は意外にも相対1、島式1の2面3線のホームと駅舎に延びる側線1本を持つ。1923年(大正12年)に琴平から延伸されて開業した当時はここが終点だった。のりばが3つあるのはそのためだろう。レールは見えないけど、右端が3番線になる。でも、正面に見える待合室は2番線に向いていて、背を向けられた3番線がちょっとかわいそう。全線満線になるわけではないけど、我が列車は3番線に入っている。

駅全景

構内踏切を渡って、髙松方面を向いて駅全景をのぞむ。停車時間が長いので、私と同じようにホームに出ている人が何人か見える。

阿波池田方面

こちらは阿波池田方面。カーブを描いて山へと入っていく。

讃岐財田駅舎

讃岐財田駅舎。樹木に覆われて駅名が分かりづらくなっている。

駅前の道

駅前から伸びる香川県道202号。この先を左に折れて、さらに進めば国道32号に合流する。駅は財田の中心から外れた小高いところにある。場所からしてけっして便利なところではないのは、やはり鉄道が避けられていたということなのだろう。

旧はしくらみち

ところで、この近くに箸蔵道という街道があった。「その20」の最後に箸蔵寺は金毘羅さんの奥の院だと書いたけど、財田の駅付近から南に山道を通るルートだったようだ。

四国のみち

さらにこんな案内板が。まだ環境庁だったころのもので、これを作成した最終年度が昭和62年となっている。つまり、国鉄が民営化されたあとになる。ところが、下の「タケノコ山のみち」の説明板を見ると、国鉄讃岐財田駅~金毘羅宮となっている。他の2つのコースでは駅はJRに改められているので、単なる見落としだろうと思うけど、思わぬところで国鉄に出会った。どうやら、駅前から見て右、東へ延びる道が「タケノコ山のみち」の一部のようだ。

財田駅前のタブノキ

駅前に立つタブノキ。高さが13メートルもあり、香川の保存木に指定されている。

タブノキのいわれ

この木のいわれ。駅建設に伴って邪魔になる木を切りたい国に対して、切ると祟られると信じている内心では反対の地元の人は表立って反対ができなかった。そこへ作業員の負傷者が続けて出たことでやっぱり祟りだとなって残してくれたのは結果オーライだとしてもよかったと思う。

エンブレム

ちなみに観光列車「四国まんなか千年ものがたり」のこのエンブレムはこのタブノキがモチーフとして使わてれいるという。これは2017年(平成29年)、デビュー前に高松駅でお披露目があったときに撮ったもの。

ところで、駅の西側にうどん屋「のぼり窯」といううどん屋があり、地元の工芸品であるさぬき岡本焼を焼きながら販売も手掛ける「ギャラリーとよなか」がある。隣接するくらい近いのだけど、あまり時間がないのでどちらも行かなかった。うどん屋の屋号は「ギャラリーとよなか」が登り窯を持っているから、そこから拝借したのかもしれないし、経営者が同じなのかもしれない。

讃岐財田駅舎内の様子

駅舎内の様子。無人駅なのでひっそりとしている。この画がいかにもローカルチックでいい。無人駅だからなくてもいいのだろうけど、改札の際に駅員が入るラッチがない。

財田町誌

これは貴重な財田町誌のコピー。駅の歴史も触れられていて、阿波池田までのルートを坪尻経由か塩入経由かで争いがあったと記されている。塩入とは今の駅というよりはさらに南にある塩入集落を指すもので、その先の東山峠を経由して阿波池田を目指すとしていた。香川県道4号に沿う形の路線といったところだろうか。もし、東山ルートが採用されていれば、讃岐財田駅は誕生しなかったわけだ。

と、ここで音がするので慌ててホームへ戻ると高知行き特急「南風11号」が通り過ぎた後だった。2700系の5両編成っぽいけど、先頭車両が切れてしまって編成写真が欠けてしまった上にブレている。14時12分頃のことであと2分でこちらも発車というタイミングだった。ギリギリまであれこれ撮っているとこういうことになる。

14時14分、時間が来て発車する。ラストスパートどころか、駅での小休止に合わせて、記事も小休止した駅のものになりました。

おまけ。

「その18」で阿波池田駅にあった黒沢湿原の看板がなくなっていると書いた。以前、訪れたときにたしか撮ったはずだが、見当たらなかったとも書いた。が、それがあった。2006年(平成18年)にキハ58、65の追悼旅をやったときに撮っていたのを思い出しました。

黒沢湿原

だからどうしたと言われそうだけど、以前あったものがなくなるとやっぱり寂しい。なので、こういう記録は残しておいたほうがいい。今回はこんなところで。