どこへ行こうか 甲信越編3
今回は新潟県です。
新潟で観光をしたことはなく、蕎麦を食べただけである。それでも、2014年(平成26年)「冬は休業、春には廃業」では新潟で泊まって居酒屋で郷土料理や日本酒を楽しんでいる。なんだ、飲み食いだけではないかと思われそうであるけど、ホントそれだけです。強いて挙げるなら羽越本線の車窓に広がる笹川流れの景勝を眺めたくらいか。
では、北から見ていこう。まず村上・新発田エリアから。
ここは冒頭でも書いた笹川流れだろう。すみません、車両の窓ガラスに付着しているエフロ(白華)かスケールにピントが合ってしまい、何となくぼやけています。
羽越本線でいうと桑川、今川、越後寒川辺りの約11キロがこれに当たり、並走する国道は345号だ。列車からよりも遊覧船で見る方がいいだろう。そして、夕陽が落ちる時間帯がお勧めだ。なんせ、この国道345号は「日本海夕日ライン」と名付けられているくらいだ。また、この辺りはご覧の通り、海が間近なので海水浴場が多く、キャンプができる場所もあるから親子連れでも楽しめる。
名所旧跡となると、村上だと市役所周辺に本庄氏の居城・村上城址があり、石垣しか残っていないけど、ちょっとした丘の上にある城なので見晴らしがいい。その近くに出羽国の羽黒山から勧請したという西奈弥(せなみ)羽黒神社や初代村上藩主内藤信成などが祀られる藤基神社がある。中条には紀州の熊野本宮大社から勧請された熊野若宮神社社殿があり、立派な社殿を持つ。新発田は新発田藩が置かれた場所であり、鎌倉時代より新発田氏が入っており、江戸時代には溝口氏が明治維新までこの地を治めた。その新発田城址公園には表門や隅櫓が現存していて、桜の季節になると大勢の人で賑わう。また、城内に陸上自衛隊の新発田駐屯所が入っている。他には清水園という大名式回遊庭園があり、ここに溝口氏の下屋敷があった。その近くには新発田の総鎮守である諏訪神社がある。このエリアを回ったあとは瀬波温泉、月岡温泉で泊まるのがいいだろう。
新潟エリアでは観光地といっていいのかどうか信濃川に架かる萬代橋。石造りのアーチ橋は優雅であり、風格もある。ここからさらに河口へ行ったところにある新潟市歴史博物館みなとぴあは史料も見ものだが、建物も戦前に建てられたもので貴重である。その先には入船みなとタワーがあり、そこからの日本海の眺めを楽しみたい。その近くには新潟懸護国神社や白山公園内にある新潟総鎮守白山神社もある。また、新潟三大財閥の一人であり、貴族院議員でもあった齋藤喜十郎の建てた旧齋藤家別邸は家屋と合わせてその庭園もゆっくり見て回りたい。
弥彦エリアだとまず弥彦神社だろう。弥彦駅はこの神社をモチーフにした駅舎だ。弥彦線を訪れたのは学生時代の一度きりで、この頃は観光は眼中になく、この駅舎を見ただけですぐ折り返しの列車に乗っている。モチーフ云々はものの本を読んで知っていただけで、実際に社殿を見たわけではない。
せっかくなので駅のすぐ近くにある弥彦公園を訪れよう。秋は紅葉がきれいだという。観月橋を渡りながら愛でるのもいい。そこから北へ数百メートル行くと弥彦神社がある。越後一宮として信仰を集める。天照大神のひ孫・天香山命(あめのかごやまのみこと)が祭神で創建2,400年と歴史も古い。春は桜、夏は緑、秋はモミジ、冬は雪と季節によって表情を変える。ここからさらに歩いて10分ほどのところにある弥彦山ロープウェイに乗って奥宮である弥彦神社御神廟も目指そう。
弥彦線のもう一方の終点三条方面へ行くと、三条の近くに法華宗の総本山である本成寺がある。朱塗りの山門が出迎えてくれて、参道を抜けると重厚な雰囲気の本堂が現れる。また、北三条の近くには三条八幡宮があり、立派な社や赤い橋が見られる。あと、このエリアでは燕市の銀器が有名だ。お土産に買って帰るのもいいだろう。
湯沢エリア。上越線の塩沢近くにある三国街道塩沢宿の牧之通りは再現ではあるが、忠実に復元されていて、散策してみたくなる。北越急行の十日町近くにある諏訪神社は十日町の総鎮守であり、地域の信仰を集める。また、ちょっと高いところにあるので、十日町の市街地が一望できる。ただ、このエリアは山深いところで、駅からバスに乗って、さらにそこから30分歩くとか鉄道で行くのは不向きな名所が多い。回るなら駅でレンタカーを借りて走ったほうがよさそうだ。宿泊は湯沢温泉をはじめ数多くあるので目移りするほどだ。
長岡エリアは長岡駅すぐ近くにある長岡城址や平湯神社、長岡藩牧野氏の菩提寺である英涼寺、長岡戊辰戦争で亡くなった藩士の墓がある長興寺、数キロ東にある悠久山公園は巡っておきたい。園内には日光東照宮を模して造られた蒼紫(あおし)神社が鎮座し、日本庭園や小動物園、郷土史料館もある。また桜が2,500本も植えられていて、家族連れで楽しめる。他には北長岡近くには金峯(きんぶ)神社、越後岩塚近くに朱塗りの宝徳山稲荷大社などがあり、見所はたくさんある。
上越エリア。鉄道好きにとってこの辺りで大きな街というとどうしても直江津になってしまう。鉄道としての要衝ではあるけど、街の大きさでいえば高田になる。その高田から。駅の近くに高田城址公園がある。家康の六男松平忠輝が入った城で堀と石垣以外は三重櫓が復元されているのみだが、歴史博物館があり、桜がきれいなことから日本三大夜桜のひとつに数えられている。公園の西には榊神社がある。これは明治になって徳川四天王の一人である藩祖・榊原康政を祀るために家臣が中心になって創建されたものだ。また、この高田城址にはかつて陸軍の師団が入っていたことから近くに師団長官舎があり、戦前らしい石造りの貫録のある建物である。どれも駅から近いので散策するのもまとまっていていい。
高田と合わせて行きたいのが一駅直江津寄りにある春日山だ。言わずと知れた上杉謙信の城である。歩いて15分ほどの場所にある春日山神社は明治に山形の米沢にある上杉神社から分霊して謙信を祀る神社だ。謙信の遺品が展示されている春日山神社記念館は必見。また、紅葉がきれいなので秋に訪れたい。隣接する春日山城史跡広場も見ておきたい。
少し南に下って妙高高原。長野との県境に近いここもいろいろ見たいところは多い。駅からバスが出ていて、苗名滝、いもり池、高谷池、笹ヶ峰高原といった鉄道では行けないところへ連れて行ってくれる。歴史に触れるのももちろんいいけど、雄大な自然に触れるのもまたいいだろう。
続いて糸魚川。駅から北へ5分ほど歩くと日本海に出る。ちょうどそこに日本海展望台があり、日本海が一望できる。そこから海に沿って北へ10分ほど行くとヒスイ海岸に着く。ここでは打ち上げられているヒスイを取ることができる。逆に駅から南へ歩いて10分ほどのところに天津神社がある。創建は12代景行天皇の御代というから、神話の時代なので西暦何年かが分からない。また越後国一之宮でもある。毎年4月には国の重要無形民俗文化財に指定される舞楽が奉納される。境内には奴奈川神社もあるので、合わせてお参りしたい。そこからさらに南に行けば、月華山かねこつつじ園や翡翠園といった庭園があるので、ゆっくりと散策したい。
最後に佐渡島。島に鉄道がないので移動はバスになる。バス路線は結構充実しているので、利用しない手はない。でも、もっと効率よく回りたい向きにはレンタカーがいいだろう。島へのアクセスは新潟-両津、直江津-小木の2航路があるので、これを利用しよう。で、まずは佐渡金山だろう。坑道に入ると、人形による採掘の様子が見られるほか当時の遺構が多く残る。江戸時代から近現代の金山の歴史を知るうえで貴重な施設である。金山の手前には北沢浮遊選鉱場があり、発電所など鉱山の近代化に貢献した当時の建造物が残っている。これも合わせて見ておきたい。
テレビでよく見るたらい舟があるのは矢島、経島。2つの島は赤い橋でつながっている。ここでたらい舟の体験乗船もできる。入り江なので波も穏やかで乗りやすそうだ。小木港から近いのもいい。あとは海岸沿いに1周するのもいい。夫婦岩、千畳敷、尖閣湾など奇岩が多く、見ていて飽きないだろう。
それからお寺や神社も多い。特に寺院は妙照寺や本光寺など日蓮やその弟子の日朗にまつわるものが数多くある。また、神社は渡津神社、牛尾神社、日吉神社が鎮座する。こうなると佐渡島だけで数日滞在しなければならないほどだ。
グルメは十日町や湯沢で見られるへぎそば、日本海で獲れる魚介類、ズワイガニは有名だ。食べたことはないけど、郷土料理ののっぺは気になる。スイーツだと笹団子か。
日本酒は越乃寒梅、雪中梅、八海山、吉乃川などを飲んだことがあるが、どれも美味しい。新潟県は米どころであり、信濃川をはじめ水が豊富なので、美味しい日本酒ができるわけである。とにかく銘柄が多いので、どれがいいか迷う人には越後湯沢駅にある「ぽんしゅ館」がお勧めだ。といいつつ、私も行ったことがない。越後湯沢で降りたことがあるのに、こんないいところがあることを知らずに蕎麦を食べただけの乗り降りで終わってしまった。何とももったいないと後悔している。
新潟もけっこう広いので、見所はたくさんある。新潟に限らずだけど、どこから手を付けようか迷うほどだ。上越新幹線にもしばらく乗っていないので、行ってみてもいい。今回はこんなところで。
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