雪とローカル鉄道 その19(アルピコ交通)

では、アルピコ交通に乗るとしよう。
アルピコ交通は前回、元は松本電鉄と書いたけど、さらにさかのぼるとスタートは筑摩鉄道であった。1920(大正9)年に会社が設立。翌年に島々線の松本-新村間が開業し、1922(大正11)年に島々までの全線が開通した。直後に筑摩電気鉄道に社名を改める。1924(大正13)年には浅間温泉への路面電車である浅間線・松本駅前-浅間温泉間も開業させている。1932(昭和7)年に松本電気鉄道に社名変更した。
戦後は1955(昭和30)年に島々線が上高地線と線名を変更し、1964(昭和39)年には浅間線が廃止になっている。それから時代は下って1983(昭和58)年に上高地線の末端区間・新島々-島々間が災害で運行休止、1985(昭和60)に休止のまま廃止となって現在に至っている。社名がアルピコ交通になったのは2011(平成23)年である。

小松島線のときにも使ったリアルタイムで買った最古の時刻表、1984(昭和59)年7月号の大時刻表より引用です。まず巻頭地図。島々があるのが分かる。上高地線は松本盆地を西へ走り、盆地の尽きたところが新島々になっている。

時刻表。「新島々-島々間は災害のため当分の間運休」の一文が見える。

運転席。

松本を出ると田川を渡る。

車内の様子。1時間に1本程度の運行なので、乗客は多い。

路線図。

信濃荒井の手前で奈良井川を渡る。

正面に北アルプスの山々が見える。

渚駅。単式ホームだ。

ガレージのような屋根の信濃荒井は最初の交換可能駅だ。交換駅は数駅おきに現れる。

大庭。単式ホームに待合室があるだけの味気ない駅だけど、かつては駅舎もあり、有人駅であった。

ログハウス風の駅舎が特徴の下新。これは「しもにい」と読む。

元々は北新で2002(平成14)年に現在の北新・松本大学前に改称している。駅舎は他の駅と比べて立派な造りをしているし、ホームの屋根もけっこう長い。

正面に鎮座するのは金松寺山や黒沢山で、右に見える雪山は常念岳や蝶ヶ岳かな?

何やら複雑な配線の駅に入る。

新村に着く。向こうに保線車両が見える。ここに新村車両所がある。

ここで上り列車と交換する。ホーム上屋は木製だ。これは20100形で、東武の20000系の中間車を改造したものだ。

ホームを外れると電気機関車ED301が保存されているのが見える。電柱が入っている上にブレ気味ですみません。

側線には20100形が停まっている。開業当初はここが終着駅だったので構内は広い。この2枚は帰り道で撮ったもので、だいぶ陽が傾いている。

きれいに田起こしされている。なんなら北海道と言われても違和感のない画だ。

上高地線は棒線駅が多い。

知らなければ、これを「さみぞ」とは読めない。下にある安養寺が気になる。

森口も趣きある駅で、特に開業時からのものと思われる石積みのホームが歴史を感じる。

下島を出ると急に高いところを走るようになる。

主要駅のひとつ波田(はた)。そうえいば、アルピコ交通の駅では跨線橋がない。すべて構内踏切で駅舎とホームを行き来している。久しぶりの雪。

雪がまったくなかったのが少しずつ増えている。

棒線駅の淵東(えんどう)。木の電柱に波板の待合室、周りは田んぼ。いいですね。

そして、終点の新島々に着く。一旦降りるよう指示される。せっかくの上高地線なので降りていろいろ見たいのでちゃんと降ります。

かつてはここからさらに1.3キロ先の島々まで鉄路は延びていた。廃止されたのはもう40年も前のことになる。

「上高地カレー」気になるなぁ。

構内踏切で駅舎へ向かう。新島々駅鉄道神社のお社がある。御朱印帳があるのかな?

ようこそ新島々駅へ。

ここから出るバス路線の発車案内がある。これは便利だ。駅前を走るのはそれらの地域とを結ぶ国道158号で、乗鞍や高山への拠点となる。

新島々駅はバスターミナルも兼ねている。冬なので、駅周辺の店は閉まっているほうが多い。

ホームを駅前の駐車場から。山肌にも雪。ここからだと車両の屋根に乗っているクーラーしか見えない。背中側が国道158号で、さらに国道を挟んで200メートルほど行くと梓川が流れている。

バスの路線図。上高地にも白骨温泉にも行ける。ちなみに上高地は冬は行けない。

バス停は2つ。ひとつはアルピコ交通、もう一つは松本市営バス。アルピコのバス停の下にある乗鞍高原温泉「鈴蘭小屋」が気になる。登山者向けの宿なのだろうか?温泉とあるので我々も行けますよね?

コンコース?
16時43分発の松本行きで帰ることにしていたのだけど、楠君と協議の結果、開いているお店が少なそうなので、乗ってきた列車の折り返しの16時04分発で戻ることにする。当初の列車に乗っていれば、梓川を見に行けたかもしれない。

20100形。パンタグラフが上がっているから帰りはこちらかと思ったら、行きと同じ3000形だった。

陽がだいぶ傾いてきた。

上りの始発なので、乗客はまばら。

16時04分、同じ列車で同じ道を走って16時34分に松本に着いた。
これから松本の夜を楽しみます。今回はこんなところで。
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