令和7年大相撲夏場所新番付

2025年4月29日

すみません、投稿が遅くなりました。こんな時間に出すのなら明日にすればよかったのに。

気を取り直して…早いもので、春場所が終わってもう1ヶ月が経つ。で、今日は新番付の発表だ。

一番の話題は先場所、高安との優勝決定戦を制した東大関・大の里の綱取りだろう。ただ、先場所の豊昇龍の例があるからハードルはかなり上がることは避けられない。しかし、これは協会の横綱ほしさから少々甘めの横綱昇進だったので、豊昇龍も被害者と言えなくもない。さらにそのとばっちりを大の里も受けることになる。横綱に昇進させようとするのならもっと慎重になるべきだ。昭和初期の横綱・玉錦は大関で3連覇しても横綱に上げてもらえなかった。もっとも、玉錦の場合は品格に難があったようで、双葉山が出て来るまではこの時代の第一人者だったので、早かれ遅かれ横綱になっていた。それでいうと、豊昇龍も大の里も物足りない。

では、番付順に見ていこう。

横綱豊昇龍は肘の状態がどうなのか。まだ調子が悪いようだとまた先場所と同じことになりかねない。それに先場所は以前のような投げに頼る相撲が目立った。攻め込まれての投げ、強引な投げがせっかく影を潜めていたのにこれでは元通りだ。怪我が増えるわけだ。去年の九州が一番よかったと思うのだが。千代の富士、朝青龍、白鵬などは上手投げを得意としていたが、受け止めて自分十分な体制からの投げなので無駄な力がなく、自然に流れるように投げていたから余裕があった。そうなれるかどうか。

東大関大の里は大関3場所目で優勝。大関昇進以来9勝、10勝、12勝と成績は上向いてきたけど、まだ安定感という点では心もとない。これならまだ大関に上がる前のほうがよかった。やはり大関になると相撲が小さくなるのか?上背がある分、腰が自然と高くなるから意識的に腰を落として相撲を取っているのは見ていて分かる。でも、自分の流れになれないとき、バタバタしてしまうと腰が浮いたりしてそこを付けこまれて負ける。修正能力に長けている大の里だ、同じことは繰り返さないだろう。ただ、今場所で横綱になろうと思えば、14勝以上の優勝は必須だろう。

西大関琴櫻は8勝でカド番を脱出した。もがきながらも13日目に勝ち越したので10勝できるかと思ったら残り2日を負けてそれ以上星を伸ばせなかった。そこが琴櫻が伸び悩んでいるところなのだろう。去年の九州で優勝したときのように好調の時は力を出せるけど、一旦リズムが狂うと本来の力が出せず、ズルズルいってしまう。初場所など負けたときの表情が自信がなさそうで、情けない、泣きそうな顔になっていた。ここ2場所は足が前に出ておらず、これは稽古不足なのか?このままではまた元大関に増えそうで、ファンとしてはいい加減にしてほしいところだ。もう少し体を絞ったほうがいい。前に落ちる相撲が多し、ちょっといなされると体がついて行っていない。

関脇は東・大栄翔、西・霧島となった。大栄翔は先場所9勝で、連続2桁勝ち星とはならなかった。中盤まで3敗できて、終盤に2勝3敗と星を伸ばせず。押し相撲はなかなか安定しない。本人は大関を目指していると思うけど、いち相撲ファンとしては強い関脇でいいのかなと思ったりする。一方の霧島は先場所の東小結から半枚上がって3場所ぶりの関脇だ。大関から落ちて以降は一進一退を繰り返して成績は安定しない。連続勝ち越しはできても2桁を続けることができない。これは大栄翔と共通している。大関候補の中で一番安定感がありそうな霧島だが、いいときは安定した四つ相撲を見せるのに負けるときは案外あっさりしている。まだ本調子ではないということなのだろう。ともあれ、二人とも頑張ってほしい。

小結は東・高安、西・若隆景。東の4枚目で12勝を挙げて優勝同点の高安が小結止まりなのは解せない。東関脇大栄翔が勝ち越してたので、東は無理でも西関脇ならありだろう。霧島が小結据え置きでもやむを得ない、もしくは関脇3人でもよかった。先場所の高安は大関に上がる前の圧力をかける相撲が多かった。腰の痛みがなければ、35歳になった今でもこのくらい強い。西の若隆景は2桁こそ逃したものの、低い姿勢からの左からの攻めがよかった。初日から4連敗したときは心配したけど、そこから9勝2敗と強さを発揮した。

これら三役力士が本来の相撲を取れれば、毎場所荒れるんでしょうね。それでは平幕力士はどうだろう。まずは上位。

東筆頭の若元春は高安の躍進の割を食って西筆頭から東に回るだけにとどまる。弟の若隆景同様、腰を落としての左からのおっつけが冴えて大関2人を破ったのが光る。今場所は2桁勝って三役に戻ろう。西筆頭の王鵬は序盤に波に乗れなかった。でも、後半は自分の相撲を取り戻して前へ出る相撲で6勝まで盛り返した。2枚目は東・阿炎、西・豪ノ山だ。阿炎は初日に豊昇龍に土を付けた後、3連勝スタート。琴櫻にも勝ち、今場所もいいのかなと思ったら中盤にまさかの5連敗で失速、6勝にとどまる。でも、これも王鵬同様2枚目で済んだ形。もう少し落ちるのかと思った。先場所東2枚目で7勝の豪ノ山も同じで、負け越したけど、西に回ってだけ。今場所はこういう傾向が強いようだ。先場所西4枚目の一山本と東5枚目の宇良はそれぞれ7勝ながらともに据え置き、半枚動くこともなかった。あと、この地位では東3枚目まで戻ってきた玉鷲だろう。40歳での2桁勝利というのもすごいけど、久しぶりの上位というのが嬉しい。最近は下位が長かったから果たしてどのくらい通用するか。東4枚目の尊富士はこの地位は初めてだ。厳しい攻めが身上だが、これが上位にとのくらい通じるか。こちらも楽しみだ。

中位は東7枚目の伯桜鵬がようやく真ん中あたりまで上がってきた。頭から低く当たる相撲で相手を浮き上がらせる相撲は脅威だ。伯桜鵬も大の里や尊富士同様に基本に忠実なので、怪我も癒えた今、上位に駆け上がるのに時間はかからないだろう。西7枚目の美ノ海は連続4勝で西14枚目まで落ちていたのが得意の左四つの相撲で11勝を挙げて少し番付を戻した。この辺だとまだ上位を当たることもないから、自分の相撲が取れそう。東9枚目に先場所新入幕で敢闘賞受賞の安青錦が名を連ねた。踏み込みが鋭く、攻めが厳しい。それに前に落ちないのがいい。期待が膨らむ。西9枚目の翠富士は肩透かしが冴えた。9勝2敗としてから上位との対戦が続いて終盤4連敗で終わり、9勝に終わった。それでも肩透かしが決まるのは前へ出る圧力が強いからだ。そうでないと時には強引にも見えることもある肩透かしが決まるはずがない。これも稽古の賜物だろう。

下位は西11枚目の獅司が再入幕の先場所に9勝、初めて幕内で勝ち越した。前へ出る相撲、粘りの相撲と獅司本来の相撲で白星を重ねた。十両に上がってきたときから気になっていた力士だけに今後に期待したい。逆に奮起を促したいのが東西の12枚目、東・熱海富士と西・隆の勝だ。熱海富士は去年の初場所から今年の初場所までの7場所を前頭筆頭から3枚目を行ったり来たりしていた。が、そこから5勝、6勝と連続負け越しでここまで落ちてきた。この地位に甘んじるのは1年半ぶりだ。この負け越した2場所は攻めが甘く、逆に攻められると簡単に土俵を割る相撲が多いような気がする。ここが踏ん張りどころだ。西2枚目の豪ノ山、西3枚目の平戸海ともども期待しているだけに最近の熱海富士の相撲を見ていると寂しい。それと隆の勝。先場所の3勝はどうしたことか。右を差しても攻めが弱く、流れるような速攻が見られなかった。いくら何でもこれは負けすぎで、どこか悪かったのだろうか?2人とも頑張ってほしい。最後に今場所の新入幕再入幕力士だ。新入幕が東16枚目の嘉陽と東18枚目、幕尻の栃大海の2人。十両の相撲はあまり見ないのでいずれもよく知らないけど、成績を見る限り、大勝ちしての昇進ではなく、じりじりと番付を上げてきているので、地に足が着いているイメージだ。十両と幕内では力の差が歴然なのでこれまでの相撲が取れるか?再入幕は西14枚目・狼雅と東17枚目・玉正鳳だ。狼雅はだいたい幕内2桁の地位にいて7場所の在位で2場所しか勝ち越していない。あまりに地味なので、毎日相撲を見ているはずなのに実はあまり知らない。すみません、今場所はしっかり見るようにします。もう一人の再入幕・玉正鳳は2場所ぶりの復帰。こちらも初場所の新入幕場所の相撲しか見ていない。でも、まだ幕内の水に慣れていない印象だった。そのためか、自分の相撲がうまく取れていないように見えた。2人ともまずは勝ち越しを目指そう。

こんな感じで注目力士を見てきました。今場所も話題は豊富で楽しみだ。夏場所は連休の翌週の日曜日、5月11日から始まる。今回はこんなところで。