令和4年大相撲秋場所 総括

2022年11月29日

このところ、月初の恒例になっている前月の記事の数について。9月の記事はわずか1個だけ。やる気あるのかと言われそうである。やる気はあります。ネタもあります。でも、書く時間がないのです。すみません。

場所が終わって1カ月経っているんですが、本題に入りましょう。来週月曜日には新番付が発表されるというのに、本当に何をやっているんだか。

優勝は東前頭3枚目の玉鷲が飾った。これで2回目となる。13勝での優勝は平幕としては大したものである。前回も平幕かと思ったら、そのときは関脇であった。とにかく突き押しが冴えた。肘がよく伸び、足も前に出ていた。だから、破壊力が抜群であった。横綱大関を総なめしたのも大きい。殊勲賞だけというのがもったないくらいで、敢闘賞もあげてもいいだろうと思った。あの突き押しも、と言い出せば三賞独占になってしまうが、それほどよかった。

では、横綱大関陣からみていこう。

途中休場の照ノ富士は膝の状態がかなり悪そうだ。いっそ3場所くらい休んで状態をよくしてから出てきてほしい。横綱ならそれができる。ただ、土俵に上がる以上は無様な相撲は見せられないから、じっくり治してもらいたい。照ノ富士のことだから、綱の責任を言うかもしれない。それで中途半端に出てきて、負けが込んでしまえば、また休場となる。その繰り返しで膝が悪化しては本末転倒である。だから、責任はあるだろうけど、いい状態で出ることもまた責任である。気にせず休んでほしい。それだけの価値のある横綱だと思う。

大関陣は飛ばしてもいいですか?いいと言う人も多そうですが、そういうわけにはいかないでしょうね。貴景勝は10勝したものの、12日目、北勝富士に対して立ち合い変化で勝ったのを見て、普段「大関の責任」とか「負けるのは弱いから」とか立派なことを言っているのに矛盾することしているなと、もういいかなと思った。勝とうが負けようが、大関であれば正々堂々と受けて立ってほしかった。あのときの館内のどよめきというか大きなため息が空気感を表していたように思う。この日のNHKの解説をしていた元大関豪栄道の武隈親方も舞の海さんも困ってコメントが出しづらそうであった。その因果応報か、翌日の関脇若隆景戦では逆に立ち合いの変化に敗れてしまった。若隆景も感心しない相撲ではあったけど、さすがにこの日の貴景勝はまとも当たらざるを得ない状況だっただけに、そこを見透かされていたようにも見えた。

正代は来場所、御嶽海に続いて落ちてくださいとしか言いようがない。光明など見いだせない。先場所と今場所初日の相撲は何だったのか?と思うほどの体たらくぶりを発揮した。攻めても逆転される、攻め込まれると粘りなく俵を割る、では勝ち目がない。胸を出す相撲は沁み付いたものだから、今さら直せないのだろうけど、それならせめて踏み込みくらい鋭くして圧力をかけられないのか。初日にNHKの解説を努め、正代に謝った北の富士さんと舞の海さんに逆に謝れと言いたい。

御嶽海は先場所、怪我で不調だったところをコロナで途中休場となり、カド番が今場所に延びた。しかし、その幸運を活かすことができなかった。先場所と同じく、攻めに迫力がなかった。多分、夏場所に痛めた右肩の状態がよくないのだろう。名古屋でも相変わらずで、そして今場所もダメであった。陥落は当然だろう。守りに入ると全然力が入っていない。あの密着して前へ出る相撲が見られなかった。そんなに調子が戻っていないのだったら、いっそ今場所は休んで大関から落ちてでも来場所10勝することを考えてもよかったのではないか。肩さえ治れば、まだまだ強い。大関に上がった途端に弱くなるなどあり得ない。が、来場所の10勝は無理だろうから、大関に戻りたければ、一からやり直しだ。

関脇は東の若隆景が初日から3連敗して心配されたが、終わってみれば11勝と大関獲りの足掛かりを作った。4度目の技能賞も納得だ。4場所連続関脇で勝ち越しを続けており、今若手(とも呼べないか)の中では一番安定しているのではないか。ただ、先場所がそうであったように序盤に取りこぼすことが多い。これが克服できれば、初優勝したときのような成績が続けられるだろう。西の豊昇龍は中盤に4連敗があったものの、千秋楽に何とか勝ち越した。足腰がいいから、ちょっと投げに頼り過ぎた面があったように思う。東2枚目の大栄翔は2日目からの6連敗が響いて7勝止まり。これでよく7勝までこぎ着けたものだと感心するが、エンジンがかかるのが少し遅かったようだ。前半は突き押しがあまりはまらなかった。こうなると押し相撲の力士は厳しい。それに関脇から平幕上位はみな実力伯仲、勝ち越すのは容易ではない。これは大栄翔に限ったことではない。

続いて小結。東の阿炎は休場、西の逸ノ城は6勝、西2枚目の霧馬山だけが9勝と物足りない結果に終わっている。霧馬山はいつも通りの力を発揮して9勝を挙げたのは小結の地位では立派なものである。それより逸ノ城だ。せめて勝ち越すくらいはするだろうと思っていただけに6勝しかできなかったのは残念である。やはり、これが今なお大関に上がれていない要因だろうと思う。阿炎は怪我による休場なので、来場所は番付を大きく落とすだろうけど、すぐ戻ってくるだろう。あの突き押しは見ていて気持ちがいい。

さて、平幕はどうだっただろうか。上位で玉鷲以外では東筆頭の翔猿が10勝、西4枚目の高安が11勝の優勝次点が2桁勝利を挙げ、他の力士も東2枚目の琴ノ若8勝、西2枚目の明生が終盤5連勝で8勝、西3枚目の宇良が8勝、西5枚目の佐田の海が9勝と10人中7人が勝ち越している。琴ノ若は先場所の好調がフロックではないことを証明したのではないか。宇良のこの地位での勝ち越しは本人は嬉しかっただろう。照ノ富士にも勝っているのも自信を深めたのではないか。あと、佐田の海はよかった。速い攻めが目立った。先場所、負け越してからの5連勝で7勝としたのがここへ来て活きてきたように思う。千秋楽に負けて10勝はできなかったが、大したものである。来場所の三役は無理だろうけど、父の佐田の海と番付(東小結)で並んでほしい。西筆頭の翠富士は7勝と初めての上位戦は跳ね返されたけど、7勝なら十分健闘した言えるだろう。これなら来場所も上位と当たるから期待したい。気になるのは5勝に終わった東5枚目の宝富士だ。初日から6連敗、9日目に早々と負け越しが決まってしまったが。そこから盛り返して10敗に留めた。今場所はもろい場面が多く、簡単に土俵を割っていた。来場所は勝ち越してほしいものだ。

中位では東6枚目の若元春がよかった。前さばきのよさに加えて足腰がいいから、うっちゃりを2番も決めた。低い姿勢で前に落ちない、それに粘りがある。その結果、10勝を挙げた。若元春にも三賞をあげてもいいくらいだ。あと、この地位で好成績だったのは、西8枚目の北勝富士と東10枚目の錦富士がともに10勝。ただ、北勝富士は初日から9連勝したのに、以降は上位との対戦が続き、失速してしまった。一方の錦富士は先場所も10勝で敢闘賞を受賞したものの、不戦勝が3つ含まれていたのだが、今場所はすべて土俵で勝っての10勝である。実力はあるということだ。来場所はいよいよ上位と当たる。楽しみである。気になったのは、西7枚目の阿武咲が5勝しかできなかったことだ。どこか悪いという風でもなかったら、突き押し力士の宿命か、うまくいかないとこうなる。

下位で目立ったのは8場所ぶりに幕内に戻ってきた西12枚目の竜電だ。6日目から10連勝して11勝とした。上背を利用した懐の深い相撲で連勝を続けた。しかし、期待していた東11枚目の琴勝峰、東13枚目の一山本はそれぞれ7勝、6勝と不本意な成績に終わってしまった。簡単にあきらめるシーンがよく見られた。来場所は巻き返しを図ってほしい。あと、西13枚目の王鵬が7勝、西14枚目の豊山は4勝とやはり残念な結果に終わった。豊山はどこか怪我をしていたのだろうか、いくら残念だと言ってもこの成績はおかしい。それより王鵬だ。初日から5連勝したので、いよいよ実力発揮かと思ったら終盤の5連敗で負け越し。左の攻めはいいのに右がいつもおろそかになっていて、そこを突かれているように見える。なかなか殻が破れず、やきもきしながら見ている。あと、新入幕の2人、東西の16枚目水戸龍と平戸海はともに負け越し、来場所はまた十両に逆戻りとなる。

こんな感じで先場所の総括を今頃やりました。あと、1週間もすれば、新番付が発表される。どんな番付になるか楽しみである。来場所も先場所のように関脇小結が2人以上になる可能性がある。関脇は1人大関から落ちてくるので3人になるのは間違いなく、小結も翔猿、玉鷲が上がりそうだし、高安の処遇と合わせるとそれ以上になるかもしれない。そうしないといけないだろう。高安の場合は東の筆頭もありうる。

今回はこんなところで。