四国小回り その6
徳島駅の改札を通って正面に1番線がある。ここは主に特急列車が発着する。私がこれから乗る列車は改札からすぐ左に折れてまっすぐ奥へ行ったところにある切り欠きホームの2番線だ。そこにこれから乗る阿波川島行きが停まっている。気が付けば、もう発車5分前だ。
奥まったところにあるので、ちょっと寂しい。
「その3」で佐古に到着したときに先発した4両編成だけど、4両のまま川島へ行くわけではなく、2両ずつ前後で分けて、川島寄りの前2両が阿波川島行き、徳島寄りの後ろ2両が板野行きとなっている。誤乗を防ぐために注意を促す看板がある。これは長いホームを持つ駅でよく見られる光景で、松山や高知でも行われている。ホームは昔ながらの長いままなのに、列車の編成は現状を反映して短くなっているからできる業でもある。
別の編成であることが分かる。
これから乗る阿波川島行き。これも1500形だ。意外にもワンマン運転ではない。そろそろ発車するので、列車に乗り込む。すると8時11分、時間が来て列車が動き出した。
徳島線は土讃線の佃と高徳線の佐古とを結ぶ67.5キロの路線で、吉野川の南側を走る。徳島からの列車が下りになっているので、佐古が起点のようにも見えるけど、それは運転系統上のことで、正式な起終点は佃であり、佐古だ。現在、特急「剣山」6.5往復をはじめ、普通列車も穴吹-阿波池田間を除いて比較的多く運転されている。かつては小松島線から阿波池田を経て高知へ向かう急行「よしの川」や多度津を経由して松山まで足を延ばした準急「いしづち」といった面白い列車も走っていた。今は優等列車は線内のみの運行になっているけど、普通列車は牟岐線と相互乗り入れをしていて、伝統?を守っている。
左手に眉山を見る。徳島の手前からずっと見えているのだけど、こうやってきれいに山容を見せてくれるところは少ない。ビルが建ち並ぶ市街地ではなお一層撮るのは難しい。
二度目の佐古を出てすぐ渡る田宮川。
そして、私は8時17分頃に到着した蔵本で降りることにした。蔵本に目的があって降りたわけではない。ただ、前々から気になる駅ではあった。
さて、この後、穴吹から先はちょっとした空白時間があり、徳島で長居するか、2駅ほど途中下車しながら穴吹を目指すか、もっと降りられるパターンにするか、徳島に入る前に鳴門線を往復してくるか、などいろいろ案はあった。その中から穴吹までの間で2駅降りる行程にしたのだった。
ところで、先ほど8時17分頃に到着したと書いた。蔵本で上下列車が交換するのだけど、時刻表では発車時刻は分かっても到着時刻が分からない。前後を走る列車の所要時間が最短のものを参考して8時17分頃としたのだ。交換相手の上りは阿波池田始発の普通列車で、これも普段なら通勤時間帯を走っていることもあり、3両編成となっている。こちらは1200形だ。
先頭車両は今をときめくDMVが描かれている。牟岐線の阿波海南と阿佐海岸鉄道の甲浦を従来通り鉄道で結び、かつ両端の駅の周辺の集落や施設を回る、鉄道とバスの両方を兼ねたDMV(デュアル モード ビークル)という車両だ。鉄道区間では鉄道車両として車輪で、バス区間ではバスとしてタイヤで走行する。鉄道の速達性とバスのきめ細かさの両方を活かした乗り物として注目されている。ちなみに土休日には室戸まで運転されるので、ますます威力を発揮する。いっそ高知まで足を延ばして国鉄阿佐線の所期の目標をDMVで達成してもいいのではないかと思う。
私は3年前にDMV導入の工事が始まる直前の7月はじめ、阿佐海岸鉄道の甲浦まで行ってきた。海部のJRとしての最後を見届けるというのも理由にあった。高架の甲浦には鉄道とバスの切り替えのためのスロープが設けられていて、準備が進んでいるのをこの目で見てきた。コロナウィルスの第1波が落ち着いてきた時期の間隙を突いて行ってきた日帰り旅だった。今度はDMVに乗る旅をしてみたい。
次回は蔵本駅を見てみようと思います。今回はこんなところで。
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