令和6年大相撲名古屋場所 まとめ
伊予西条ばなしが一区切りついたので、先日終わった大相撲のことを書きます。
まずは横綱・照ノ富士の10回目の優勝だろう。ついに悲願達成となった。そして、初の名古屋場所での優勝でもある。初日からの10連勝はうまさと強さが光った。序盤から長い相撲が多く、それでもうまく取っていたが、終盤は疲れたのか、2勝3敗と失速して隆の勝に追いつかれてしまった。10日目の大の里戦が完敗なのは気になるところだけど、14日目の隆の勝戦は立ち合いの明らかな失敗、千秋楽の琴櫻戦は攻め急いで詰めを誤っての連敗であった。でも、この連敗はいつもどおり取っていれば防げたものだ。隆の勝との優勝決定戦ではしかし、本割で敗れた相手にいつもの相撲を取り切って優勝した。この辺のうまさ、修正能力の高さはさすがだ。
せっかくなので、横綱と優勝について。
今でこそ白鵬の45回をはじめとして20回以上の優勝は以前ほど珍しくなくなってきたけど、昭和の大横綱と言われた大鵬や北の湖、千代の富士を除けば、10回優勝すれば大横綱の仲間入りだった。それが平成になって特定の力士の一強時代が入れ替わりで続くようになり、10回優勝といえども平凡な印象を受けるのは感覚が麻痺してしまっているせいだろうか?
大鵬、北の湖、千代の富士の時代はそれぞれ4横綱時代があるが、北の湖を除いた二人は他の追随を許さなかった。大鵬も千代の富士もそれ以外に2桁優勝した力士はおらず、一強といっていいだろう。
千代の富士に続く貴乃花の時代には先輩横綱の曙、兄の三代目若乃花、武蔵丸といった他の横綱がおり、脇を締める大関陣もけっして弱くはなかったので、なかなか見ごたえがあった。曙貴時代と呼ばれた。期待された貴乃花が内臓やら怪我で優勝22回に留まり、北の湖の24回を上回ることができなかった。だからなのか、曙が11回、武蔵丸12回、若乃花5回、大関ながら魁皇も5回と他の力士も優勝を重ねており、この時代の面白さを物語っている。ライバルが2桁優勝しているのは輪湖時代の北の湖24回に対して輪島14回くらいのものだろう。この頃はまだ一強とまではいかず、群雄割拠だった。今のドングリとは大違いだ。
その次の時代となる朝青龍が25回の優勝を誇り、あとから横綱になった白鵬としのぎを削るものと思っていたら、朝青龍自身の不祥事で引退せざるを得なくなった。もし、二人の時代がもう少し続いていたら白鵬の優勝回数もあそこまで伸びなかったのではないかと思っている。
白鵬の時代が訪れると続けて日馬富士、鶴竜、稀勢の里が横綱となったが、対抗馬足りえたのは優勝9回の日馬富士だけで、その日馬富士も不祥事だったか微妙な感じで引退を余儀なくされ、鶴竜は6回優勝しているが、ライバルというには物足りず、稀勢の里は大怪我で引退が早まり、もはや敵なしとなった。白鵬の最晩年に照ノ富士が横綱になったものの、拮抗できたかな?という印象だった。取り口や所作、品格に問題があり、個人的にはあまり好きな力士ではなかったけど、間違いなく強かったし、一時代を築いた。
今は照ノ富士以外、大関も含めてドングリなので、照ノ富士がいないと誰が優勝するやら分からない状況が何年も続いてる。なんせ白鵬引退後の18場所で11人もが優勝力士として名を連ねている。もっとも、照ノ富士も満身創痍で皆勤はできても優勝まで期待するのは酷な気もする。今回、こうして優勝したけど、心配なのはモチベーションだ。目標としてきた10回目の優勝を達成した今、来場所以降も土俵に立つのか?土俵に上がるとして何を目標に相撲を取るのか?目標を到達して一気に衰えるということもあり得る。私などはもう引退してもいいよと思っている。一人横綱として3年間よく頑張っている。これに続く力士がいないのが悲しい。それもこれもみんなドングリだからだ。照ノ富士に次いで優勝回数が多いのは貴景勝4回、御嶽海3回であるけど、いずれも好調を維持できない。だから、大関止まりどころか陥落するのだ。
けっこう紙幅を割いてしまったので、ドングリたちの評価は次回にします。今回はこんなところで。
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