令和5年大相撲夏場所新番付

1日、5月14日から始まる大相撲夏場所の新番付が発表された。1週間前に出せよといった記事ですが、それを見ていこうと思う。

横綱大関の顔ぶれは同じ。そもそも横綱・照ノ富士は出られるのだろうか?初場所の頃から夏場所には出られるようにしたいと言っていたが、今の番付の状況では休場が続いても出場勧告も出しにくい。一方、大関・貴景勝は先場所途中休場のため、今場所はカド番。綱獲りに失敗したのみならず、カド番になるとは正に踏んだり蹴ったりだ。膝の具合如何だけど、何とかカド番だけは脱してほしい。もし、休場というようなことになると本当に大関不在になってしまう。

関脇は4人。東・霧馬山、西・豊昇龍、東2・大栄翔、西2に新関脇の若元春となった。2場所連続の2桁勝利の霧馬山は大関獲り、豊昇龍は連続2桁を目指す。大栄翔は再び関脇に復帰し、若元春は小結で2桁勝っての関脇となかなか充実している。霧馬山と若元春は安定感があるので、期待している。あとの2人はちょっとムラがあるので、勝ち出すと止まらない代わりに、一度負けると続けて負ける傾向があるから、そうならないように土俵に臨んでほしい。

小結は3人。東・琴ノ若、西・若隆景、東2が帰り小結の正代の顔ぶれ。が、西の若隆景は先場所膝を痛めて途中休場しての降下だ。怪我をした相撲では勝つには勝ったが、勝ち名乗りを受ける際に蹲踞がまともにできていなかった。これは相当悪いと思うので、今場所も休場したほうがいいだろう。琴ノ若は小結3場所目、だいぶ力を付けてきた。懐が深く、柔らかいのが最大の魅力だろう。正代は気楽に取れる環境だったのだろう、先場所は西の筆頭で10勝して、たちまち三役復帰だ。地力はあるのだけど、残念ながら大関ではそれが発揮できなかった。

次は幕内。まず上位から。東筆頭の阿炎は昨年の九州で優勝して以来、この地位にいて勝ち越しを続けているのは立派だ。西の筆頭、自己最高位となった翠富士は先場所の尻すぼみはさぞかし悔しかっただろう。しかし、この地位はまだ厳しいか。西3枚目には弟弟子の錦富士が躍進。それにしても、伊勢ヶ濱部屋は次から次へと新しい力士が出てくる。しかも、みんな個性的で見ていて面白い。あと、東5枚目の金峰山は入幕2場所目にしてこの地位に上がってきた。スケールの大きな相撲で11勝したのだが、番付を9枚も上げた。東西の2枚目、高安と遠藤、同じく4枚目の宇良と錦木はいずれも中堅、ベテランだ。味のある相撲で上位を喰ってもらいたい。

中位は東西の6枚目、明生と御嶽海、7枚目の北勝富士と玉鷲はみんな上から落ちてきた。明生は連続2桁敗でここまで落ちたし、御嶽海は新大関の昨年春場所で勝ち越して以来、ずっと負け越し続き、北勝富士は3場所連続で7勝、玉鷲はらしくない相撲で番付を大きく落とした。東10枚目の竜電も先場所わずか2勝だった。でも、2枚目から8枚の降下で留まったのはラッキーだ。いずれにせよ、この辺でストップをかけたいところだろう。そんな中にあって、西9枚目の平戸海に期待したい。正攻法の下からの攻めは重心が低い分、効果は抜群だ。先場所は7勝ながら番付は据え置かれたので、奮起してほしい。西10枚目の宝富士は連続勝ち越しで、ここまで戻してきた。でも、大負けすれば、十両陥落の危険性がある地位なので、もう少し上がっておきたい。

下位では東14枚目の朝乃山だろう。ついに幕内に戻ってきた。ただ、気になるのは、やはり相撲が甘いというか、厳しさに欠けるというかそういう点だ。大関時代とさほど変わっていない。復帰からの星だけを見ると強そうに見えるけど、不祥事による降下で怪我はしていない点、元大関という点を考えるとここまで全勝できてもおかしくはない。三段目では全勝優勝し、幕下は2場所で通過したものの、ともに6勝で全勝できておらず、優勝も逃した。十両はともかく幕下で全勝できないとはどういうことなのか。結局、そこが甘いと思う点なのだろう。十両では14勝(優勝)、13勝で通過できたけど、場所を経るごとに攻め込まれる場面が増え、安定感に欠ける相撲も見られた。大関から落ちる前の素質だけで勝っていた相撲を見ているようだ。幕内では2桁勝てても優勝争いまではできないのではないか。相撲が変わっていないので大関に戻れるかどうか何とも言えない。厳しいけど、私はそのような見方をしている。今は十両に甘んじている栃ノ心は怪我で幕下まで落ちてから大関まで上がったが、その復帰の過程で幕下を連続全勝優勝、十両でも連続優勝、しかも2回目は全勝と「4連覇」して幕内復帰を果たした例があるから朝乃山の成績を見ると物足りないのだ。復帰からの5場所の成績が46勝5敗、これで物足りないというのは期待の裏返しか。何も朝乃山のことが嫌いなわけではない。むしろ好きなほうに属する。だからこそ、安定感を身に付けて勝ってほしいのだ。

その他の力士を見ると、中堅、ベテランが目立つ。かつては三役の常連だった東12枚目・碧山、西14枚目の妙義龍がこの地位にいるのは寂しい。西12枚目の琴恵光は先場所久しぶりに勝ち越したので、その余勢をかってさらに上位に上がってほしい。若手では東11枚目の北青鵬に期待したい。先場所新入幕で9勝を挙げ、番付をここまで上げた。対戦する相手も少し変わってくると思うので、圧力負けしないよう立ち合いを磨いてほしい。同じ若手では一足先に幕内に上がっている王鵬がいるけど、西16枚目と後がない。何か吹っ切れていない感じがする。殻を破れば、もっと勝てると思うのだが。おじいさん(大鵬)とまでは言わないけど、こんなところで燻っていてはいけない。

と、ざっと番付で気になる力士を挙げてきたが、今場所も楽しみだ。今の群雄割拠のような状態を鎮めるような力士は現れるのか。それは一体誰なのか。そろそろ出てきてほしいものだ。でも、そうなりそうな力士は今の私には思いつかない。今年中に現れればいいなと思う。

今回はこんなところで。