令和8年大相撲春場所 新番付

2月24日、3月8日から始まる大相撲春場所の新番付が発表された。

焦点はなんといっても大関安青錦の綱獲りだ。

新関脇で優勝、翌場所新大関でも優勝というのは以前も書いた通り、1936~1937(昭和11~12)年の当時69連勝真っただ中の双葉山以来であり、双葉山は次の場所も全勝して大関2場所で横綱に昇進している。私たちもこれを見たい。ただ、先場所の3敗での優勝は物足りない。やっぱり優勝するなら13勝以上は挙げてもらいたいものだ。あと、巧さや安定感はあるものの、力強さはまだまだだ。また、大きな突進型の力士への対応も課題だ。豊昇龍には負けないのに大の里には相変わらず勝てない。この辺を克服しないとこれ以上の星の上乗せは厳しいし、横綱になるなら苦手はなくしておかなければならない。

では、横綱から。

東・豊昇龍、西・大の里ともに10勝と同じ成績なので、東西の並びは変わらず。それにしても、物足りない成績に終わった。両者、怪我を抱えての出場だったから、その中で10勝したというのは横綱として最低限の仕事はしたことになる?かつて北の湖は「横綱の勝ち越しは10勝」と言っていたことからも及第点といったところだろう。二人の怪我の具合はどうなのだろう。豊昇龍はサポーターを着けているので何となく分かるが、大の里は鎖骨の辺りだから分かりにくい。怪我が少しでも癒えていることを願うばかりだ。横綱は強くなくっちゃ。

大関は安青錦が東、もう一人の琴櫻が西と入れ替わった。安青錦には触れたので、ここでは琴櫻をみていく。といっても、先場所も8勝で終わり、弱い大関の代名詞・クンロクをも下回るハチナナ大関もすっかり定着してしまい、見るべきところはあまりない。そしてまた、安青錦に先を越されそうである。いいときは安定した厳しい攻めを見せるのにダメなときはあっさり俵を割る。いいときが続かず、ひとたび劣勢になると立て直せず、負けるとシュンとする。しかも、勝ち越したら気が抜けるのか、それ以降勝てない。平幕力士ならさらに上積みしようと頑張りそうなところを8勝に甘んじる。本人は頑張っているのだろうけど、そうは見えない(すみません)。もはや自分のよさすら見失っているのではないかと思う。こちらは両膝を傷めているので、横綱陣よりも状況はよくない。私は以前、大関を守るのに精いっぱいのまま終わりそうという意味のことを書いたが、それは今も変わらない。見ていても優勝とか優勝争いに絡むとかが想像できないからだ。それが払しょくできるといいですね。

関脇は東・霧島、西高安と先場所と同じ。霧島は九州で東2枚目の地位で11勝、翌初場所は関脇で11勝と連続二けたとなり、今場所は大関獲りになる。3場所連続三役ではないけど、直近では安青錦の例もあるから問題ないだろう。時代は違うけど、先の双葉山は前2→関脇→大関だった。先場所の霧島は立ち合いが厳しく鋭く、攻めも速かった。これが今場所も出れば大関に復帰できるだろう。一方の高安は前半は6勝2敗と上々だったが、横綱大関と対戦する後半は星が伸びず、勝ち越すのがやっと。終盤5日は1勝のみ。疲れたのかもしれない。

小結は東は若元春、西には新三役となる熱海富士が座った。若元春は序盤5連敗スタートから巻き返して8勝2敗として勝ち越し。連敗明け以降は左からの攻めが冴えて、粘りもあった。大関は厳しそうだけど、いぶし銀、円熟の相撲へ向かうか。また、熱海富士は念願の三役だ。一昨年はずっと前頭3枚目以内にいて2枚目3枚目では勝ち越すのに筆頭までくると負け越すという昇進できそうでできないもどかしい状況が続いていた。去年は主に幕内の中位から下位に沈んでいた。それが先場所は右四つからの攻めが厳しく、攻め急ぎや詰めの甘さもなく優勝同点の成績を挙げた。優勝決定戦では安青錦に敗れたが、ついに三役を手にした。新入幕の時から気にかけていたけど、これからもいい相撲を見せてほしい。注文を付けるとしたら琴櫻、王鵬とともに体重を減らすことだ。3人とももっと体を絞ったほうがいい。

平幕にいきましょう。

上位から。筆頭は東には先場所西2枚目で9勝した若隆景が入り、西は据え置きで義ノ富士となった。若隆景は中盤の連敗が響いて9勝だったが、低い姿勢、左からの攻めがよく、終盤は4勝1敗と星を伸ばした。こちらも兄・若元春同様いぶし銀な相撲で玄人を唸らせる力士になっていくか。義ノ富士は横綱2人に勝つなど力はあるのに8勝しかできなかった。力強く前へ出る相撲はいいものがあるのだが、負けた相手を見てみると巧い力士が目立つ。つまり、うまくしてやられているわけだ。これは安青錦の逆だ。そういう力士をうまくさばけるようになると面白い。三役も近いだろう。東西の2枚目は藤ノ川、美ノ海とともに過去最高位になった。藤ノ川は小さいのに真っ向勝負で、劣勢になっても簡単には土俵を割らない粘りがある。これが見ていて気持ちがいいし、面白い。美ノ海は地味ながら前さばきがよく、まわしを切るなどの小技もあって、知らず知らずのうちに自分有利になるような相撲を取るので、こちらも上位戦が楽しみ。3枚目は東・平戸海、西・王鵬となった。平戸海は9勝から連敗して2桁はならなかったが、懸命に攻める気っ風のいい相撲は思わず頑張れと応援したくなるし、負けたときのいかにも悔しそうな顔もまたいい。王鵬は久しぶりの三役だった。でも、大負けしたのに西3枚目への降下で済んだ。それでいうと、東4枚目の大栄翔は先場所同じ地位で7勝だったが据え置かれ、西4枚目の隆の勝も東3枚目で5勝だったのに1枚半しか落ちなかった。3人はこれを幸運と思って頑張ってほしい。逆に東5枚目の阿炎は西12枚目で10勝して、西5枚目の琴勝峰は西10枚目で9勝して、通常の星勘定ではあり得ないが、一気にここまで上がっている。怪我など不調で下位まで落ちていた阿炎がここまで戻ってきたのは嬉しい。

中位は東6枚目の一山本は先場所自己最高位の東筆頭で4勝しかできなかった。それでも琴櫻に勝ったのは自信になったのではないか。阿炎と似た相撲を取るので見ているほうにとっては楽しい。西7枚目の伯乃富士は先場所大の里や琴櫻に勝ったものの、大の里戦で足の指を傷めた。翌日からも怪我を押して土俵に上がったが、4連敗して無念の途中休場。足の指は大事で、栃ノ心が新大関の場所で同じように足の指を傷めて、のちに大関から落ちたことがあるだけに心配だ。西8枚目の正代もかつて同じように傷めて大関復帰を逃している。なんせ、踏み込んだり、踏ん張ったりができなくなるのだ。それは力士にとっては致命傷だ。東9枚目の時疾風と東10枚目の豪ノ山は先場所と入れ替わり。時疾風は四股名の通り、速攻相撲でサッと中に入るのがうまい。で、速い。コツコツと番付を上げているのがいい。そのほうが上に行っても大負けしづらい。豪ノ山はいつも思い切りぶちかます相撲で、けっして変化をしない。とにかく攻めまくる。これを上位で見たいのに、ここ最近は下位に甘んじている。早く戻ってきてほしい。そして、三役に上がってほしい。西9枚目の玉鷲は先場所は精彩を欠いて5勝に留まり、ここまで落ちてきた。この辺りならまだまだ自分の相撲が取れそう。また勝って上がってきてほしい。

下位は東11枚目の獅司はなかなかこのエリアから上がれない。先場所は東14枚目で9勝してここまで上がった。低い姿勢からのがむしゃらな攻め、粘る相撲など相手にとっては脅威となる相撲を取る。こちらも少しずつあがってくればいい。西11枚目の欧勝海は入幕2場所目の先場所10勝して上がってきた。前さばきのうまさがあるのでそれを磨いてほしい。東12枚目の朝紅龍は強気な勝気な相撲で思いっきりがいい。思いっきり変化もする。西12枚目には先場所久しぶりに入幕した朝乃山になった。右四つになれば、今なお無類の強さを誇る。これで上手を引けば盤石。たまに右四つ左上手の形にはならせてもらえず負けることもあるが、そうならないためにも型をとして身に付けるべきだ。東13枚目の翔猿は序盤から中盤にかけて6連敗があったが、これが響いて7勝に留まる。あのクセのある相撲をしてもなかなか勝てない。でも、翔猿の相撲は上位戦で見てこそである。対照的なのは西13枚目の藤青雲だ。東17枚目の藤凌駕とともに新入幕を果たした。どんな相撲を取るのか知らないけど、楽しみだ。西14枚目の錦富士は青森県出身の幕内力士の在位継続記録を更新している。先場所は好調だったのに怪我で途中休場。それまでに6勝していたので、降下は3枚で済んだ。錦富士もまた、なかなか渋い相撲を取る。まずは勝ち越しだ。東15枚目の翠富士は先場所負け越して番付を少し落としたが、6勝のうち、2勝が肩透かし。が、どちらも?が付く怪しいものだった。今場所は久しぶりにきれいな肩透かしを見てみたいものだ。それも楽しみの一つだ。幕尻・西17枚目には2度目の入幕の琴栄峰が滑り込んだ。去年の名古屋が新入幕。しかし、6勝に留まり、十両へ逆戻り。兄の琴勝峰は初優勝と明暗が分かれた。今回は力を蓄えて上がってきているだろうから期待したい。高く上がる四股も見もので、幕内の土俵で見られるとなるとお客さんも大喜びだろう。

そういうわけで、上から見てみた。場所後にはうまくすれば安青錦と霧島の同時昇進もあり得るから今から楽しみだ。両横綱と琴櫻には奮起を促したい。また、脇を固める三役陣も持ち味を発揮して横綱大関を喰ってほしい。平幕上位も実力者揃いなので目が離せない。あと、半月です。

今回はこんなところで。