令和4年大相撲夏場所新番付

2022年6月27日

新番付が発表された。

先場所優勝した若隆景は2場所続けて東の関脇。大関への足固めとするなら、まずは最低二桁勝つのが必須だ。なんせ、新関脇での優勝があの双葉山以来というから期待も膨らむ。

では、上から順に見ていこう。

横綱照ノ富士は先場所途中休場。膝や踵の具合にもよるけど、今場所も全休でいいと思っている。前の大関時代は無理して出場して怪我を悪化させる原因になっていたが、今は横綱だ。稀勢の里や貴乃花のようになってはいけないが、じっくり治してから出てくるのでいいだろう。それに照ノ富士の相撲はまだまだ見たい。

大関陣は御嶽海、正代、貴景勝の順。

御嶽海は新大関として11勝したのは合格だろう。安定感は3人の中で一番よかった。腰を落としての寄り身はさすがだ。でも、ごめんなさい、好不調の波が激しいのであまり信用していない。

正代は先場所序盤の4連敗でついに大関陥落か?と思わせたが、よく持ち直した。何か吹っ切れたように感じた。でも、必死の形相の相撲内容を見るにつけ、あれを15日間続けるとなると心身ともに疲れそう。もう少し懐が深ければあの胸を出す相撲でも持ち味の柔らかさで捌けるのだが、攻められれば受け身で精一杯だから、やはり先に攻めないと厳しい。

貴景勝は終盤疲れたのか、勝ち越してから全敗で8勝止まり。上位戦では捕まえられて突き押しが繰り出せなかった。貴景勝は四つでは何もできないから、相手も突きさえ凌げは何とかなるという頭があるのだろう。今の理事長の北勝海やもっと前の柏戸なども下の頃は突き押し主体だったのが番付が上がるにつれて四つ相撲も覚えて横綱まで上り詰めたから、貴景勝も少しは四つを覚えたほうが安定感が増すように思う。

関脇は若隆景と阿炎。

若隆景は強靭な足腰で正攻法な相撲を取るのがいい。今幕内上位にいる豊昇龍や霧馬山などとタイプが似ている。本人は3代目若乃花を目指しているようだが、もっと昔の栃錦や初代若乃花にも似ていると思う。体勢を低くして拝むように両前まわしを引くスタイルは小兵には理にかなった相撲だ。名人大関の誕生を期待したい。

阿炎は不祥事で3場所の謹慎から復帰して以降、相撲が落ち着いている。謹慎前の飛んだり跳ねたりの軽い相撲ではなくなっている。これは若隆景にも言えることだが、足が他に着いている。突っ張りも重そうだ。幕内復帰後は連続で優勝争いに絡む二桁勝ち星を上げてきての先場所は新関脇だったが、そこで勝ち越したのは立派。

小結は豊昇龍と大栄翔。

豊昇龍は先場所新小結で勝ち越して今場所は西から東へ回って半枚「昇進」した。足腰の強さはあの細身を補って余りある。投げの打ち合いでも顔から落ちるあたりも闘争心に溢れている。この辺りはおじさんの朝青龍譲りか。今は投げが技が多いが、これを牽制に使って、寄って出る相撲を身に付けると面白い。

大栄翔は2場所ぶりの小結復帰。ここ2年、一番低い番付で西前頭4枚目だから、いかに安定しているか。このところの若手はみんなほぼそんな感じだから大栄翔だけが特別ではないけど、押し相撲主体の割には安定していると思う。明生とともに照ノ富士にかなり善戦しているので今やなくてはならない存在だ。

これだけ三役陣が充実していると勝ち越すのは容易ではない。関脇小結の4人のうち、3人が先場所勝ち越したのも充実の表れか。そのおかげで通常なら優勝争いに加わったことで三役に上がってもおかしくなかった高安と琴ノ若が平幕に留められてしまった。最近は関脇小結とも東西に各1人と決めているようで、よほどのことがない限り、3人目4人目は置かなくなっている。だから、2人とも東の筆頭で1点の勝ち越しの大栄翔を超えることはできなかった。2人は今場所、その悔しさをぶつけて来場所三役を勝ち取ることができるか。

長くなったので、平幕の話題は今度触れます。