令和8年大相撲夏場所 まとめ

今場所は東小結・若隆景が東大関2枚目の霧島との優勝決定戦に勝ち、12勝3敗で2度目の優勝を果たした。怪我で関脇から幕下まで落ちながらここまで戻ってきて初優勝から25場所ぶりに賜杯を手にした。優勝インタビューでは感慨深そうだった。おっつけ、前さばきなど左からの攻めがよかった。同時に7度目の技能賞を獲得したのも納得だ。

では、上から順番にといっても横綱大関で皆勤したのが霧島だけという寂しさ。2横綱3大関と豪華なのは番付だけで、なんとも中身はスカスカであった。番付発表の記事で書いた通りになってしまった。

東横綱・豊昇龍は初日の高安戦で太ももの裏を傷めて翌日から休場。来場所以降、まともに出場できるのかと心配になる。また、西横綱・大の里は去年の九州で傷めた肩の怪我が癒えないままだ。そんな中、毎場所出ていたから治るはずがない。場所前に師匠の二所ノ関親方が怪我をした箇所は厄介な場所だから休場させたというのを聞いて、それならその時点でなぜ数場所休ませなかったと思った。自身も横綱に昇進してから怪我苦しみ、そのせいで1年休場したのだから一番分かっているではないか。こんなことでは2人とも引退が早まるかもしれない。

大関はまず東2枚目の霧島から。大関復帰の今場所は前へ出る相撲が多い一方、攻め込まれることもあった。が、いなしたり、はたいたり、相手の攻めをかわしたりで白星を伸ばした。攻められても勝てるのは体が動いている証拠。好調を維持しているのはいいことだ。これが続けば横綱だって夢ではない。ただ、場所後の横審の出した来場所は綱とり場所という見解には反対だ。これだけ上位陣に休場者が相次ぎ、横綱大関戦が全くない状況で12勝しかできなかったというのはあまりに物足りない。最低でももう一つ、13勝はしてもらいたかった。私は今場所のような混戦になると誰が優勝してもいいけど、最低でも12勝はしてほしいと常々言っているので、霧島の12勝もいいではないかとツッコまれそうである。でも、それは大関取りまで。横綱を目指すのであれば、やはり13勝はしてほしい。もし、来場所が本当に綱取り場所というのなら14勝以上は必要だろう。

残りの2人。東・安青錦が全休。これはカド番で全休して関脇に陥落してでも怪我を治すことを優先した安治川親方の賢明な判断であった。場所前に怪我の状態によっては途中出場もあり得るとの報道があったが、潔かった。怪我から回復すれば、大関復帰特例の10勝は可能だろう。西の琴櫻は先場所久々の10勝を挙げて、今場所はと思ったら通常運転どころか5連敗するなどした挙句に休場。3勝9敗3休だった。立ち合いぶつかったあと、足が出ない。なので、相手に圧力がまったく伝わらない。

関脇はともに新関脇の東・熱海富士、西・琴勝峰ともに9勝と土俵を沸かせた。両者とも初日2日目はバタバタで連敗スタート。でも、そこから調子を取り戻して星を重ねる。熱海富士は立ち合いからの圧力が強く、右を差しながら前へ出る本来の相撲で終盤4連勝で締めた。琴勝峰も攻めが速く、中盤に5連勝、優勝した若隆景にも勝っている。こちらも前へ出る相撲が多く、以前のような簡単に諦めるような相撲ではなかった。来場所が楽しみだ。

小結はもう一人の西・高安。初日に豊昇龍に勝って休場に追い込むと、2日目の一山本にも完勝。今場所はついに優勝があるかもと思ったら3日目の平戸海戦で土俵に落ちたときに右内転筋を傷めて自身も休場となった。最近の高安は調子がいいと思ったら休場ということが増えてきた。

つづいて幕内上位。

今場所この地位で勝ち越したのは東2枚目の義ノ富士11勝、西3枚目の王鵬9勝、西4枚目の豪ノ山8勝の3人だけであった。役力士9人中皆勤したのは4人だったが、その4人全員が勝ち越し、9勝以上だったので、そんな中で平幕上位が勝ち越すのはなかなか難しい。義ノ富士は前へ出る圧力が強く、しかも休まず攻めていたので、相手は反撃ができない。5日目から9連勝して優勝争いにも絡んだ。敢闘賞は当然の内容だった。王鵬は前半こそ3勝5敗と振るわなかったが、後半は6連勝して締めた。前半と後半で別人のような攻めの相撲で、特に左からの攻めが厳しく、体格を活かした圧力をかける相撲で相手を圧倒した。豪ノ山は8勝2敗からの5連敗と大失速。先場所同様のぶちかましからの押しが冴えていただけに持続できなかったのが残念だ。負け越した力士で7勝だったのは10人中4人だった。となると来場所も今場所とほぼ同じメンバーになるので、上位陣は要注意だ。気になるのは東5枚目の若元春だ。弟の活躍の陰でまさかの5勝に終わる。攻めてはいるものの簡単に体を入れ替えられたりと今場所は軽く感じだ。粘りも感じられなかった。衰えるには早いので、どこか悪いのかもしれない。

さて、三役争いはどうなるのだろう。若隆景が小結で優勝したので、関脇2人が勝ち越しているからといって、小結に据え置くとはさすがに考えられない。で、安青錦が陥落するので関脇は4人になるかと思われる。すると、小結2つが空くであろうと予測されるわけだけど、ここは義ノ富士と王鵬で決まりだろう。彼らより下の地位で追い越せそうな成績を収めている力士が見当たらないからだ。来場所も豪華になりそうな番付だけど、番付だけではなく来場所こそは中身も充実してほしい。そうなってくると平幕の定員は42名なので、最下位は東西16枚目までとなりそう。

中位もまた勝ち越した力士が少なかった。東6枚目の美ノ海は9勝だった。地味な印象で、大きく連勝するわけでも連敗するわけでもなく、でも、立ち合いからの左前みつを取っての攻めは巧さを感じる。越も重く、守りも強い。こういう力士がジリジリと上がってくるのが見ていて楽しい。また、西10枚目の伯乃富士は11勝。師匠の教えを忠実に守り、とにかく前へ出る相撲がいい。体はけっして大きくないので怪我も多い。だから、頑張ってほしいが、千秋楽の変化での勝利はいただけない。勝てば敢闘賞という条件の下での取組だったから勝ちにこだわったのだろうけど、敢闘賞とは程遠い内容でまったくらしくなかった。注文相撲はそれが誰であれ見たくない。あと残念だったのは東10枚目の朝乃山だ。10日目に7勝3敗となり、勝ち越しかと期待されたが、11日目に左足の甲の捻挫で翌日から休場。無念の負け越しとなった。他にはここ毎場所取り上げているような気がする錦富士。青森県出身幕内力士の連続在位記録を託されている(?)西9枚目で臨んだ今場所はまさかの5勝。たしかに攻めても体を入れ替えられたり、あっけなく土俵を割る相撲が多かった。9枚目での5勝なので、来場所も幕内に残る可能性が高い。

下位(11~17枚目)は2桁10勝以上した力士が3人いた。東11枚目の宇良は持ち前の動きの良さと下にもぐっての押し相撲で10勝。最後の最後まで優勝争いを演じ、千秋楽は結びの霧島戦に大抜擢され、最後まで土俵をわかせた。東13枚目琴栄峰は先場所再入幕を果たして勝ち越しで臨んだ今場所は立ち合いの出足が鋭く、攻めも速い。10勝2敗としたときは期待が膨らんだが、最後の3日は上位との対戦となって3連敗で終了。だが、高い四股とともに存在感を大いに示した。東17枚目・藤凌駕は先場所新入幕で同じ地位にいたが、7勝で負け越したのに運よく据え置かれた。その強運を活かして今場所は得意の押し相撲で白星を重ねた。14日目に義ノ富士戦が汲まれ、これに勝つと千秋楽には優勝した若隆景と対戦した。幕尻力士が上位と対戦すること自体がなかなかないので印象深い。他には東15枚目の翔猿だろう。ここ数場所、負け越し続きでとうとうここまで落ちてきた。が、こんな地位で相撲を取る翔猿ではない。付かず離れずの相手にとって取りづらい相撲で中日に7勝、11日目に9勝とした。12日目から上位との対戦となって、最後は4連敗で9勝止まりであった。終盤疲れていたのかもしれない。あと…西13枚目の玉鷲が2勝と来場所の十両陥落が確実だ。初日の先日に右のふくらはぎを傷めて自分の相撲が取れない、踏ん張りがきかないから押しに力強さがなく、威力も半減した。それでも10、11日目に勝った。3日目か4日目までは力が入らない相撲が目だったが、5日目あたりからとにかく攻める相撲が復活して土俵に上がった。じっかり怪我を治して来場所は十両の土俵を沸かせて、そして、1場所で幕内に戻ってきてほしい。

と、こういう感じです。役力士の半分以上も欠けた異常事態の中、最後を締めた霧島と若隆景は立派である。来場所はみんな戻ってくるだろう。が、内容は怪我の回復具合如何にかかっている。今場所のような体たらくを続けて見せるようなことがあってはならない。期待を込めて、今回はこんなところで。