何に乗ろうか

2022年5月28日

私は旅へ出るのが好きなのに新型コロナウィルスの影響で2年前の2月を最後にお預けを喰らったままだ。この間に行ったといえば、息子がやっているセーリングの遠征に帯同したくらいで、個人的には2年前の夏にJR牟岐線の阿波海南-海部間がJRから阿佐海岸鉄道へ移管されるというので、その前に乗っておこうという、いわゆる「葬式鉄」に日帰りで出かけたのが唯一である。

で、コロナは依然一進一退を繰り返している。第7波か?と言われているけど、第6波すら終わっていないような状況で第7波なのかと思ってしまう。それは単にまん延防止等重点措置が3月21日をもって解除されたから6波は終わりという認識なのだろうか?全然下がり切っていないのに終わりでいいのか?私は6波は終わってはおらず、まだ続いていると思っている。まぁ、6波でも7波でもどっちでもいいんですが。

さて、本題に入ろうと思う。いろいろ案はある。といっても、なんせ1年にせいぜい1回か2回しか旅に出られないから案は案だけで終わって、ダイヤ改正が行われると未遂に終わる案も多々ある。だから、今春ダイヤ改正時点の時刻表でみていく。特に断らない限り、以下に書くのはJRである。あ、アイキャッチ画像の「サンライズ瀬戸」にはことあるごとに乗ろうと思っています。

真っ先に出てくるのは博多-宮崎空港間の特急「にちりんシーガイア5・18号」だ。それもグリーン個室で全線乗り通したい。これは在来線の昼行特急では最長の411.5キロを走る。いずれも6時間近くかけて走破するが、昼間に走るのは下りの5号になる。

同じ九州、同じ日豊本線に宗太郎-延岡間の普通列車がある。これは1日に下り1本、上り2本の1.5往復しか走っておらず、特急が8往復走っているのと比べてもあまりにも差があり過ぎる。この普通列車、乗るなら下りだろう。もし途中下車したら丸1日列車が来ないというのが恐ろしい。北海道で2年前に一部が廃止された札沼線の末端区間、浦臼-新十津川間は最後は1日1往復だったからそれよりも1本多い…といっても極端に少ない本数には違いない。

中国地方では山口線の新山口-津和野を走る「SLやまぐち号」か。鉄道は知らなくても、この列車は知っているという人もいるかもしれない。昭和54年の登場以来、オリジナルや改造された12系客車が使われてきたが、平成29年に旧国鉄のマイテ49やオハ35といった旧型客車を模した車両を新製して運用に就いている。私がこれまでこの列車にあまり興味を示さなかったのは客車が12系だったからだ。12系が嫌いなわけではなく、蒸気機関車にマッチしていないからだ。この点、静岡県の大井川鉄道は蒸気機関車が昔ながらの旧型客車を牽くスタイルなのでこれまで3回乗りに行っている。

もうひとつ、特急「スーパーおき」のうち、鳥取-新山口間の列車。これも長距離を走り、378.1キロにも及ぶ。一度乗ったことがあるが、どこまでも続く日本海が美しかった。

四国だと下り3本、上り2本ある予讃線・高松-松山間の普通列車だ。高松-坂出間が快速運転になるから各駅停車ではないけど、どれも5時間前後の所要時間でのんびりするにはもってこいの列車だ。他には同じ予讃線の松山-宇和島間普通列車のうち、キハ185系3000番台を使用している列車もいい。これは特急用のキハ185系車両を普通列車用に格下げしたもので、いわゆる乗り得列車だ。ただ、上下とも朝の1本ずつと運用は少ない。

近畿地方は新快速で、その中の敦賀-米原-播州赤穂間の列車だ。敦賀を5時32分に出て、播州赤穂には9時42分に着く。走行距離275.5キロは在来線普通列車では一番長い距離を走る。しかも、福井、滋賀、京都、大坂、兵庫と5府県を走るのも珍しい。

北陸では特急「サンダーバード」の極端に停車駅の少ない列車だ。大阪-金沢間を途中、新大阪、京都、福井しか停まらない。該当するのは9、10、30、37、40、43号だ。このうち、最速は37号の所要2時間31分で、表定速度はなんと106.33キロ!新幹線の「こだま」よりちょっと遅いくらいだ。北陸新幹線ができたため、富山まで行かなくなったのは残念である。

続いて中部地方。やはり飯田線の豊橋-辰野もしくは上諏訪間の列車だろう。上下3本ずつ=3往復の設定があるが、乗るなら距離の長い上諏訪発着の列車だ。特に運転時間が7時間に迫る列車がいい。ただ、こんな長時間運転なので、全区間昼間に走るとなると本数はさらに限られて、下りだと10時42分豊橋発、16時33分辰野着、上りは9時22分上諏訪発、16時16分豊橋着の1往復のみとなる。いずれも夕方には終着駅に着くので車内でまったりしつつ、車窓景色を楽しめそうだ。学生時代に乗ったことがあるけど、また乗ってみたい。

紀勢本線に亀山-新宮間普通列車がある。180.2キロと高松-松山間や飯田線よりも短いけど、4時間ほどかけてゆっくり走る。この列車を選んだのは距離ではなく、特に亀山17時58発、新宮22時43分着や新宮6時03分発、多紀9時07分着の列車がかつての夜行普通列車「南紀」のちに「はやたま」となった列車の一部だからだ。こういう元夜行の昼行部分が未だに残っていると乗りたくなる。

関東では特急「あずさ」の停車駅の少ない列車。先に紹介した「サンダーバード」ほどではないけど、停車駅をかなり抑えている。9、37、38号がそれに当たる。最速列車の所要時間は37号の2時間29分となっている。表定速度は79.45キロと勾配やカーブが多い中、80キロに迫る速度は立派である。

もうひとつ、関東の特急から。常磐線を走る「ひたち」のうち、品川-仙台を結ぶ3往復だ。東日本大震災で分断されていた常磐線が一昨年の春から9年ぶりに全線で再開し、それを機に仙台直通列車も復活した。かつての東北本線の特急「ひばり」を彷彿とさせる列車で、上野-仙台間における約4時間半運転はその「ひばり」に勝るとも劣らない。

関東の鈍行では中央本線の高尾14時09分発、長野18時53分着の普通列車。この列車の列車番号は441Mで、かつての新宿発長野行き夜行列車、通称「山男列車」が付けていた番号である。運転区間がそれに近いのも何やら運命的なものを感じる。ただ、全線明るいうちに走り通すのは夏至の頃だけなので、乗るならその時期がいいだろう。

関東の鈍行をもうひとつ。上野東京ラインを経由する列車のうち、沼津-宇都宮間の最長距離列車だ。この春の改正までは熱海-黒磯間の列車が1往復あり、それが最長だったが、東北本線の列車が宇都宮で全て系統分割されたため、少し短くなった。東北本線で少し短くなり、代わりに東海道本線で少し長くなった格好だ。運転時間は4時間を超え、静岡、神奈川、東京、埼玉、茨城、栃木の6都県を走破する。これは新快速の5府県よりも多い。

飛んで東北。五能線に下り3本、上り1本全線直通の普通列車がある。上りは快速区間があるので所要時間は若干速いが、下りはどれも走行時間4時間半前後で乗り応えがある。でも、どの列車を選んでも明るい時間帯を走るので、車窓風景を楽しめる。また、臨時列車ではあるが、快速「リゾートしらかみ」がある。このうち、秋田と青森を結ぶものがいい。一番長い時間を走るのは5号だけど、最後のほうは暗くなるので、1、2、4号がお勧めだ。また五能線は冬がいい。個室で楽しみたい。

最後に北海道。特急「宗谷」や「オホーツク」はいずれも走行距離400キロ弱、所要時間5時間以上とかつての北海道らしさをわずかに残しているかなと思うので乗っておきたい列車ではあるが、ここでは宗谷本線の旭川-稚内間の普通列車を挙げておこう。通過するのは北永山だけであとは全て停車するから、各駅停車といってもいいだろう。ちなみに上りに通しの列車はなく、名寄乗り換えとなる。走行距離259.4キロ、所要時間6時間4分と申し分ない。かつては根室本線に滝川-釧路間の普通列車というのがあったが、これには11年前に乗ったことがある。ところが、6年前の豪雨で一部区間が不通となり、復旧することなく不通区間の廃止が決まってしまい、この列車の復活はなくなった。だから、この稚内行きには乗っておきたい。

こうやって書き留めていくと、こんなにいろんな列車が出てきた。探せばもっと他にもあるかもしれないけど、そもそもこんなに乗れるのか?乗ることができないままダイヤ改正でまたなくなるかもしれない。そうならないよう一つでも多くの列車に乗りたい。長くなりましたが、今日はこの辺で。