令和4年大相撲九州場所新番付

一昨日、九州場所の新番付が発表された。

先場所3関脇3小結だったのに続いて、今場所も3関脇4小結と賑やかな番付となった。が、横綱から小結の力士の内訳を見てみると、先場所が横綱1、大関3、関脇3、小結3だったのが、今場所はそれぞれ1、2、3、4と人数的には同じである。順に見ていこう。

横綱は照ノ富士一人なのは変わりなく、綱の重責を受けながらよく土俵を勤めている。でも、先場所は残念ながら休場してしまった。膝の状態がよくないから動きの速い力士に付いて行けていない。横綱へと駆け上がった頃のがっしりと受け止める安定感ある相撲が最近見られないのも心配だ。だから、いっそ今場所も休場して初場所に万全を期してもらいたいと思う。無理して出場して、また休場となると前の大関時代のように悪循環に陥ってしまいそうだ。無様な相撲で怪我を悪化させるくらいなら休んだほうがいい。

大関は東・貴景勝、西・正代だが、勝ち越せばいいんじゃないですかね。もっとも、正代は関脇に落ちそうだが。貴景勝は自覚はあるけど、成績が伴わない。2場所続けて2桁勝っているのだが、やはり序盤の取りこぼしが印象を悪くしている。正代は立ち合いの踏み込みが弱く、攻められても粘りがない。これでは勝ち越しはおぼつかない。寂しいことだけど、ないないづくしの大関に期待するところは少ない。

むしろ、関脇小結に応援したい。関脇は東・若隆景、西・豊昇龍と2人が勝ち越したところへ大関から御嶽海が陥落したので3関脇は織り込み済みだった。これからの両関脇と落ち目の元大関、どちらに勢いがあるかは明白である。御嶽海は先場所のような状況がまだ続くようであれば、今場所10勝での大関復帰はおろか、勝ち越すことすら厳しいのではないか。もし、そうであれば、二度と大関には戻れないだろう。他の2人に盛り上げてもらいたい。

一方の小結は3人のうち、霧馬山のみ勝ち越しだった。あと先場所優勝の玉鷲辺りが西に座るかと思ったら、東・玉鷲、西・霧馬山、東2枚目・翔猿、西2枚目に関脇で7勝だった大栄翔という顔ぶれとなった。大栄翔はあるいは平幕に落ちるかとも思っていたが、1枚の降格で済んだ。たしかに関脇で7勝で小結を通り越して平幕ではあまりにかわいそうだから妥当なところか。

平幕上位は東の筆頭に高安が戻ってきた。大栄翔がもし平幕まで落ちていれば、高安が小結に入っていたかもしれない。西4枚目で優勝次点の11勝だった高安が東筆頭というのも運が悪い。通常なら小結になってもおかしくない成績だ。あと、面白いのは先場所8勝を挙げた琴ノ若、明生、宇良の3人がそれぞれ東2枚目→西筆頭、西2枚目→東2枚目、西3枚目→東3枚目と半枚ずつ上がっていることだ。毎場所のように続く三役予備軍の滞留状態を物語っている。その代わりに西筆頭で7勝だった翠富士が西3枚目へと2枚も落とされた。逆に西小結で6勝止まりだった逸ノ城は西2枚目と2枚の降下で済んだ。この扱いの差はなんなんだと思う。

運が悪い力士は他にもいる。東西の4枚目の2人、若元春と佐田の海だ。若元春は東6枚目で10勝、佐田の海は西5枚目で9勝したのに、1枚とか2枚しか上がっていない。自分より上に力士は勝ち越したり、負け越しても1点や3点で留めているために大きく番付を落とす力士がいなかった。上がつかえて上がれない状態がこの地位でも起きている。上位と当たるか当たらないか微妙な地位なので、当たらないうちに勝ち星を伸ばして勝ち越し、さらに2桁となれば三役が見えてくる。

平幕中位は比較的ベテランが多く名を連ねている。ひと癖もふた癖もある力士ばかりなので、土俵を盛り上げてほしい。活きのいい若手もいいが、今場所たまたまこの地位にいる力士たちも面白い面々なので楽しみだ。その中にあって西9枚目の若い阿炎がひときわ目立つ。先場所は小結だったのだが、怪我で無念の全休。それだけに今場所にかける意気込みも違うだろう。気持ちのいい突き押しで早く上位に戻ってほしい。東9枚目の隆の勝もこんな地位で取る力士ではない。右差しの相撲で勝ち星を伸ばして、上位での相撲を見たい。

平幕下位は東西の11枚目の阿武咲、琴勝峰はいつまでも下で燻っていないで早く上がってこいと思う。いいものを持っているのにそれを活かし切れていない。何とももどかしい。ところで、この地位は先場所負け越した力士が多い。だが、意外と下がり幅は小さい。こちらは上位と違っていい方に作用しているようだ。西13枚目・王鵬と西16枚目の平戸海は先場所7勝だったが、ともに同じ地位に据え置かれた。先に挙げた西11枚目・琴勝峰は東から半枚だけ下がり、西12枚目・千代大龍、東13枚目・隠岐の海、東14枚目・一山本、東16枚目・照強はそれぞれ6勝だったのに1枚の降下で済んでいる。これを意気に感じて勝ち越しを目指してほしい。

最後に新入幕は西15枚目の熱海富士だ。たしか、NHKで解説をしている北の富士さんが期待している力士だったように思う。私もたまに十両の相撲を見るが、右四つのいい寄り身を持っている。コツコツと番付を上げてきたといった印象だ。他に西14枚目・東龍と東15枚目・輝が再入幕となっている。今場所も三役が多いので、平幕は16枚までだ。

ということで、九州場所の番付を見てきた。平幕上位は何でもっと上がらない?逆に下位はこの程度で済んでラッキーといったところだろうか。照強や平戸海は十両陥落かと思っていたから意外だった。もっとも、大きく負け越した力士は容赦なく落としているので、その辺りは妥当な線か。