令和8年大相撲名古屋場所 新番付
大相撲名古屋場所が7月12日より開催される。さっそく上から見ていこう。
横綱は東・豊昇龍、西・大の里と変わらず。が、豊昇龍は初日に太ももの裏を傷めて2日目から休場、大の里は全休と存在感が全くなかった。そうでなくても最近影が薄いのに休場までしていては「どこにいる?」状態である。先場所後は大勢の関取とともに2人ともパリへ渡って、フランス人を大いに沸かせた。まぁ調整程度なのだろうと思う。その代わり、日本に帰ってからみんな稽古に励んでいると思う。とりわけ横綱の仕上がりはどうなんだろう。怪我がまだ不安なようなら今場所も休場したほうがよさそう。調整不足、稽古不足で序盤から負けが込むような無様な相撲は見たくない。
海外公演は普段の巡業よりも花相撲みたいなものなので、本気を出していなければ、無理もしない。その証拠に先場所大負けした挙句に休場して、今場所カド番を迎える琴櫻がトーナメントで優勝している。そのことからも推して知るべしだろう。普段の巡業だと会場以外の場所で申し合いとか三番相撲とか取って力を付けていくものだが、海外でそれができる場所は用意されているのだろうか?
大関は順当に東・霧島、西・琴櫻となった。霧島は大関復帰の先場所、優勝同点で若隆景と決定戦で優勝を争った。前さばきのよさと前へ出る相撲で好調を維持している格好だが、もうひと声といった感じだ。力強さはあるが、盤石ではない。敗れた3人はいずれも平幕であった。こういう状況なのに審判部は今場所が綱とり場所だという。高レベルという条件は付いているものの、先場所が基準というのは甘すぎると思った。今書いた通り、平幕3人に敗れての12勝であり、決定戦でも格下の小結に敗れた。これで綱取りとは笑わせる。全勝優勝でもすればいいかな。14勝だと2場所平均で13勝になるのでギリギリ。でも、やっぱり先場所の12勝は引っ掛かる。弱い横綱大関の大量生産はもうたくさんだ。琴櫻は昨年綱取りに失敗して以降、ずっと沈んだまま、悩んだままだ。去年今年は先々場所10勝した以外はよくて9勝と大関の責務を果たせていない。たまにいい攻めを見せるのだが、それもせいぜい2日程度。あとは消極的な引く相撲ばかりでとても角界の看板を背負う力士の相撲とは言えない。かといって、関脇に陥落して元大関が増えるのも見たくない。琴櫻の場合、落ちたら他の元大関同様二度と大関に復帰できない。かつての高安のように再度大関を狙える成績を残せるとも思えない。そんな琴櫻はともかく、霧島についてはあらためて今場所から綱を目指してほしい。
関脇は元々いた2人加えて、大関から安青錦が陥落、小結から優勝した若隆景が昇進して4関脇となった。東・熱海富士、西琴勝峰、東2・若隆景、西2・安青錦の序列となった。若隆景は優勝しているのに「先輩」2人の上には行けず、大関から落ちてきた安青錦は末席に列せられている。熱海富士、琴勝峰はともに持ち味を発揮して仲良く9勝だった。2人とも序盤はピリッとしなかったが、徐々に調子を取り戻して勝ち星を伸ばした。2人とも前へ出る圧力が増したように感じた。若隆景は先場所の好調を維持できているか?もし、今場所を先場所並みかそれ以上の成績を収めればあるいは大関の声も出てきそう。ただ先々場所、東筆頭だったが肘の傷みで途中休場、8勝6敗1休というのが気になる。3場所前が平幕で、しかも一桁勝ち星では今場所後の大関昇進はちょっと弱い。13勝以上の優勝なら3場所33勝となるので、3場所前が平幕というのはお目こぼししてもらえるかもしれない。とにかく横綱が復帰するであろう今場所は試金石になるのではないか。安青錦はまずは10勝に到達して大関に復帰しよう。先場所カド番なのに全休したのはいい判断だった。ここでじっくり体を休ませることができた。パリ公演には帯同したが、これは祖国ウクライナの戦争でフランスに避難している家族に会うためでもあった。稽古さえちゃんと積んでいれば、大関復帰は可能だろう。
小結は東に新三役となる義ノ富士、西には王鵬が座った。王鵬は初場所以来の小結。先場所の義ノ富士は東の2枚目の地位だったが、前への圧力が強く、とにかく攻めて9連勝を含む11勝を挙げた。三役には琴勝峰にしか勝てなかったが、平幕には藤凌駕に負けただけであった。安定感とも相まって、ようやく三役に上がってきた。王鵬は先場所序盤から中盤にかけて勝ったり負けたりだったが、後半6連勝で終えてトータル9勝で2度目の小結になった。が、王鵬はこれまで関脇2場所、小結1場所を経験しているが、一度も勝ち越したことがない。去年の九州の西関脇での7勝が最高。優勝決定戦にも出場したほどの実力者なのだから、そろそろ勝ち越すところを見てみたい。熱海富士、琴勝峰だって勝ち越しているんだからできないことはない。
平幕の上位から。
まず東西の筆頭・藤ノ川と隆の勝だが、先場所ともに7勝で負け越したのに同じ地位に留まっている。負け越したのに同じ地位に据え置かれる現象は最近よく見られる。そのときどきの事情でそうなっているのだろうけど、多すぎやしないか。杓子定規に半枚ないし1枚下げても、その程度では対戦相手は変わらないので、大勢に支障はないということなのだろう。他には東2枚目に豪ノ山、東3枚目に平戸海、西3枚目に先場所11勝と次点の伯乃富士が座り、いずれも若手が並ぶ。もっとも、豪ノ山は28歳で若手というよりも中堅だろうか。西2枚目の美ノ海は遅咲きながらじりじりと番付を上げてきて今場所、自己最高位となった。派手さはなく地味で渋いのだが、それが玄人受けする。あと、面白いのは東4枚目の大栄翔だ。なんと4場所連続でこの地位にいるのだ。しかも、先場所までの3場所すべて7勝に留まり、勝ち越せていない。数行前に書いた藤ノ川、隆の勝と同じパターンであるが、4場所連続据え置きは年6場所制になってから初めてのことだという。次こそは勝ち越したい。東5枚目の宇良は先場所東11枚目で10勝して戻ってきた。やっぱりこういう力士が上位にいてもらわないと土俵が面白くない。
つづいて中位。
東6枚目の正代は先場所西5枚目で6勝だったのに半枚しか下がらず、西6枚目の藤青雲は7勝で据え置き。東7枚目には先場所2桁勝ち星を挙げた琴栄峰が上がってきた。西7枚目には先場所初日に横綱豊昇龍に勝ったのに怪我で4日目から休場した高安。横綱大関陣が振るわない中、今度こそ優勝が狙えると期待されたが、またも叶わず。休場したのでここまで落ちてしまった。ただ、7枚目の二人は実力があるので上を目指してほしい。気になるのが東8枚目の若元春だ。こんな地位で取るような力士ではない。が、ここ数場所不本意な土俵が続いていて負け越しが続いている。土俵上では包帯テーピングの類はしないので、外観からはどこが悪いのか分からない。内臓だとしたらなおさら分からない。奮起してまた三役に戻ってほしい。西8枚目の狼雅は一昨年九州以来の2度目の自己最高位についた。狼雅もまた美ノ海と同じくまわしを切るなどの小技が巧く、いぶし銀な相撲を取るので、近頃気になっている力士の一人だ。東9枚目の藤凌駕は新入幕の春場所、幕尻東17枚目で負け越しながら据え置かれた先場所10勝して一気に9枚も番付を上げた。持ち味の押し相撲がいいですね。西9枚目の翔猿は少し番付を戻した。9勝2敗から上位戦が組まれて最後は4連敗したが、彼もまたこんな地位で取るような力士ではないので、さらに番付を戻してほしいものである。東10枚目の朝乃山は10日目に7勝を挙げたが翌11日目に足を傷めて12日目より休場。7勝5敗2休となったが、彼もまた据え置かれた。足は癒えているのだろうか?心配だ。
下位は関脇が4人になった影響で西16枚目が幕尻になる。定員(42名)があるのでどうしてもこのようなことが起きてしまう。幕内に上がれたかもしれない十両力士がいただろうし、幕内に残れず十両落ちした力士がいたかもしれない。この1枚の差は大きい。では、見ていこう。
東11枚目には先場所新入幕で9勝した若ノ勝が上がってきた。中盤3連敗はあったものの、得意の突き押しが冴えていた。体が柔らかそうで攻められても吸収しそうな体型に見える。それは四つ相撲のそれに見えるけど、がっしりした体型からの押しもまたいいのかもしれない。西12枚目の阿炎は先場所5勝でこの地位に落ちた。春場所は背中を傷めていて中盤6日間休場して、再出場後は多少持ち直したが4勝、夏場所はその影響か5勝とここ2場所は振るわない。簡単に諦める相撲が目立ったので、まだ怪我は治っていないのかもしれない。さて、今場所はどうだろう。大いに気になる。東西の13枚目には錦富士と久々幕内の尊富士の青森県出身力士が並んだ。先場所の錦富士は傷めている肘の影響か、満足に相撲が取れず5勝に留まる。一方の尊富士は去年の秋以来の幕内ではあるけど、そのときは全休しており、出場した場所でいうとその前の名古屋になるので1年ぶりに幕内で相撲を取る。この間、十両4場所だったが、3場所連続8勝の後、先場所11勝して再入幕を果たした。尊富士に関しては怪我だけはしないよう祈っている。せっかくいい攻めを持っているのに怪我でたびたび場所を棒に振っているので、怪我に強い体作りをしてもらいたい。東15枚目の阿武克は一場所で幕内復帰したのはよかった。あと、新入幕は2人。西15枚目の一意(かずま)と東16枚目の大青山だ。四股名は聞いたことがあるけど、相撲はまだ見たことがないので楽しみだ。
というわけで、ひと通り見てきたけど、今場所はおそらく横綱大関そろい踏みでスタートすることだろう。となると、先場所優勝した若隆景や同点の霧島が同じような成績を残せるかどうかが焦点になる。横綱はどこまで仕上がっているのかも気になるところ。ここ数場所の体たらくを見ているととても壁になりきれていないという印象だ。10勝するのが精いっぱいな感じすらする。横綱としてそれはさすがに情けない。大関だってそうだ。先場所は霧島が優勝同点の成績を残したから最後まで盛り上がった。が、本来ならその一翼はもう一人の大関琴櫻が担うべきなのに、2桁敗が嫌で3勝9敗3休にしたのかと穿った見方をしてしまうほどに酷かった。今場所は関脇小結も充実の顔触れなので、順当に横綱大関から優勝力士が出てくるのだろうか?ここ数場所のように横綱が早々にコケるようなことがあれば、何が起こるか分からない。あな恐ろしや。
今回はこんなところで。



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