観光列車で四国一周

四国の話題に触れようと思う。

ちょっと前の話になるけど、4月にJR四国の観光列車「伊予灘ものがたり」の2代目が就役した。ニュースで見ただけで現物を見たことがないが、乗りたいと思う。と、先代が登場したときにも乗りたい言っていたけど、この「伊予灘」を含めて、何一つ乗らずじまいで現在に至っている。

ところで、四国には観光列車が3つあり、予讃線と土讃線、土佐くろしお鉄道で週末を中心に運行されている。どうせ乗るなら3つまとめて乗ってみたいとも思う。簡単に紹介してみよう。

初代伊予灘ものがたり

「伊予灘ものがたり」が生まれたのは8年前のことである。2013年(平成25年)10月、JR九州でクルーズトレイン「ななつ星in九州」が誕生した翌年の2014年(平成26年)7月から運行を開始している。その後、JR西日本が2017年(平成29年)5月から「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」、JR東日本が2017年(平成29年)6月から「TRAIN SUITE 四季島」を走らせているが、四国では長距離列車が生まれにくい土壌もあり、このような車内で数日過ごすような列車はできなかった。その代わりということなのか、短距離ながら列車の旅が楽しめる観光列車を設定したのだろうと思う。ちなみに上の写真はデビュー前に高松駅で催された展示会のときに撮影した先代である。

「伊予灘ものがたり」は改造されたキハ185系気動車の3両編成で予讃線の松山-伊予大洲・八幡浜間を伊予長浜経由で各1往復する。2号車は8人用の個室があり、団体での利用も可能である。列車は伊予灘に面する下灘駅や肱川、大洲城を見ながらゆっくり走る。特に八幡浜発松山行きの「道後編」は下灘に夕暮れ時に着くようにダイヤが組まれているので人気がある。そのまま道後で泊まるのもいいだろう。

「伊予灘ものがたり」の大成功で気をよくしたJR四国は続いて2017年(平成29年)に「四国まんなか千年ものがたり」、2020年(令和2年)に「志国土佐時代(とき)の夜明けのものがたり」を登場させるが、「伊予灘ものがたり」の普通列車扱いに対してこれらの列車は特急列車としている。そして、2代目の「伊予灘」は後輩に便乗?するかのように特急列車として再デビューしている。上はJR四国によるパンフレットの表紙。

四国まんなか千年ものがたり

続いて「四国まんなか千年ものがたり」だ。これもデビュー前に高松駅で行われた撮影会で撮ったもの。

四国まんなか千年ものがたり

JR四国のパンフレットより。「四国まんなか千年ものがたり」はこれもキハ185系気動車3両編成で土讃線の多度津-大歩危間に1往復設定されている。多度津発着なのは予讃線からの乗客の便宜を図っているのだろう。琴平の2つ先の黒川を出ると勾配がきつくなり、讃岐財田の辺りまで来ると周りを見下ろしている。そこからさらに上って、この列車のハイライトであるスイッチバックの坪尻に着く。坪尻を出ると吉野川が眼前に広がり、一気に阿波池田の街へと駆け下りる。池田からは吉野川に沿って大歩危小歩危の景観を見ながら走る。

この列車では琴平駅で乗り降りする乗客に対して「ラウンジ大樹」という専用の待合室が用意されている。かつての1・2等客用の待合室のようで、ちょっとしたセレブ感を味わえる。また、食事を予約した人に限って下りではウェルカムドリンク、上りではシャーベットが提供される。

志国土佐時代の夜明けのものがたり

3つ目は「志国土佐時代の夜明けのものがたり」だ。車両は同じキハ185系気動車だが、こちらは3両ではなく2両編成となっている。この列車は撮影ができていないので、パンフレットだけです。運転区間は高知-窪川間と高知-奈半利間の2区間ある。

土讃線の列車は高知から土佐加茂までは平坦なところを走り、佐川からだんだん上り始め、トンネルで山を越えると須崎へと下りていく。須崎の前後では海の横を走り、次の安和の背後は海だ。その後は内陸を走り、トンネルだらけになる。影野からは狭い平地をすり抜けるように走って窪川に至る。山あり、海ありで変化に富んで面白い。

土佐くろしお鉄道乗り入れ列車は後免まで土讃線を走り、そこから土佐くろしお鉄道に入る。あかおかの辺りから太平洋に出ると、基本的にはこれに沿って走る。海側に向いている座席があり、また路線は高架でもあるので太平洋の眺めを満喫できる。

これらの観光列車に共通するのは食事ができることだ。予約は必要だけど、地元のこだわりの食材を使った料理が供されるのが魅力だ。また、「伊予灘」と「四国まんなか」は軽食も用意されているので、誰でも利用することができる。

四国では最初の鉄道・讃岐鉄道の一時期、JRが発足したころのビアガーデン列車以外で食事ができる列車はなかった。そもそも食堂車やビュフェといった供食設備を持った車両を一両も持ったことがないのだ。それは寝台車も同じで、瀬戸大橋が架かって以降、客車時代の「瀬戸」やその後継の「サンライズ瀬戸」が乗り入れてはいるが、車両はJR西日本や東海の所属でJR四国のものではない。ここにも長距離列車が生まれにくい土壌の一面が表れている。

せっかくなので、コンパクトに1泊2日で全部乗ることができる行程を作ってみた。ちなみに逆回りだと、1日に1列車ずつしか乗車できない上に、かなり間延びしたプランになるので、ここには載せていない。間の時間は観光に充てれば、間延びなどということにはならないと思うが、四国一周というより半周になるけど、メインはあくまで観光列車なので、このパターンにしてみた。高松の朝が早すぎるのが玉に瑕。

1日目

高松5:17(いしづち1号)7:56松山8:26(伊予灘ものがたり)10:28伊予大洲10:52(宇和海9号)11:40宇和島12:18(予土線)14:23窪川15:13(志国土佐 時代の夜明けのものがたり)17:53高知 泊

2日目

高知12:13(南風12号)13:05大歩危14:21(四国まんなか千年ものがたり)17:14多度津17:26(いしづち24号)17:57高松

今回はこんなところで。